2007年03月16日

ソケイ部から恥骨一帯にかけての湿疹

御質問者:北陸地方の鍼灸師

 前文失礼致します。風痰上擾の目眩の際はご指導ありがとうございました。
 お忙しいこととは存じますがご指導いただければ幸いです。
症状なのですが、ソケイ部から恥骨一帯にかけての湿疹があり痒みがあります。
 ステロイド系の塗り薬を使用していますがほとんど無効です。 患部はカサカサしています。 また、寝て起きると異様に体が寒く、特に背中が寒いです。朝起きるとお風呂 に入らないと寒くていられないです。
花粉症もあり目の痒みと鼻水が出ます。

舌所見は淡紅、白苔(膩傾向だと思います。また薄く黄色が舌中部から舌根に有るように見えます。)胖傾向です。舌辺部は逆にツルッとしてます。
 甘いものの過食や食事の不摂生などあるので脾の問題が根底にあり湿熱があるのかと思うのですが、舌証との兼ねあいが今ひとつの様に思っています。
 薬としては猪苓湯にプラス何か入れなければと思いますが、御助言よろしくお願いいたします。


お返事メール:ご報告された状況からは、辛温解表に風湿邪を除去する作用のある荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)がよいのではないかと思います。
 薄くかかる黄苔は微妙で、陽虚による水湿不化による黄苔ということもありますので、湿熱を本当に挟むのかどうかは不明です。
 この方剤なら、風寒湿の表症に有効ですので、花粉症や目の痒みや鼻水にも一定の効果が得られる可能性が高いと思います。

 もしも手元に荊防敗毒散がないばあいは、連翹を加えてない十味敗毒湯でも代用になると思います。
 一般書籍類では、十味敗毒湯の効能を去風化湿・清熱解毒として、風湿熱の皮疹に適応するとされているものがありますが、実際には清熱解毒の力よりも風寒湿を除去する作用が強いように思います。ですから意外に風寒湿を呈する湿疹に有効で、上記の荊防敗毒散の代用になりえるものだと思ってます。(但し、個人的には荊防敗毒散は優れた方剤だと思いますが、十味敗毒湯については花岡青洲の考案した方剤とはいえ、この世に存在する意義は乏しいと愚考しています。)

 脾虚が明らかであれば、同じ荊防敗毒散でも人参などが加わった製剤(建林松鶴堂の製剤)「松鶴太陽」が適切だと思われます。
 なお、猪苓湯を使用する必要はないように思います。
 以上、簡単ながらお返事まで。
                      頓首

村田恭介拝
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posted by ヒゲジジイ at 11:21| 山口 ☁| アトピー性皮膚炎や慢性湿疹など痒みを伴う皮膚病 | 更新情報をチェックする