2007年03月15日

田七人参の問題点

性別 : 男性
年齢 : 30歳〜39歳
簡単なご住所 : 関東地方
具体的な御職業 : 漢方関連
お問い合わせ内容 : メールといえど夜分のことで申し訳ございません。
 早速ですが、気になる事がありまして、是非先生に教えて貰いたい事がありまして、厚かましくもまた質問の方させて頂きます。
 気になることとは、『田七人参』の事なのです。色んな書籍を読めば読むほど、又色々な症状に使えば使うほど、話を聞けば聞くほどになんとなくその効能にハッキリしたものを見いだせない事が多いのです。(自分の物に出来ないのです)その疑問というのは、最近ある製薬会社の人間と話をしていたのですが、、、田七人参:朝鮮人参=3:1=止血:補気という関係があるというのです。田七には止血の作用が3/4程度で補気の作用が1/4で朝鮮人参はその全く逆の効果があると言うのです。
 また長期的にみると必ずと言っていいほど、田七には血管収縮作用が現れるという話も聞いたことがあります。この血管収縮が「あながち嘘ではないな」と自分が感じた理由は人参の「生津止渇」という作用が、その血管収縮作用によるものなのか?と考えたからなのであります。
 以上のことを自分勝手な妄想で考えますと、補気作用により血小板〜の生成に関与しそれを促し、血管収縮作用によって止血を行うので総合的に考え止血に効果があるのかと考えてしまうのです。また各炎症に効果があるとされていますが、例として肝炎などに有効に作用する場合、肝の亢進している血管に対し収縮を促し機能を正常化させる事と、以上の書いた内容が正しければ何らかの関連があるのか?などど考えてしまいます。(応用が進めばアトピーなどにも効果があるのでは?考えてしまいます。)
 最後に「血管収縮」という事実があるのであれば、「オケツ」があるような場合には使えない生薬ということになり得ると思うのですが、、、しかし「止血活血」という効能が歌われておりますので、その使い道は効能如何によって、オケツに対しては非常に慎重にしなければいけないのか?と思ってしまっています。
 以上なのですが、経験が浅いもので田七なるものを自分のものに出来ていないので、お忙しいとは思いますが、今回も先生に甘えさせていただければと思いメールさせて頂きました。

ヒゲジジイのお返事メール:拝復
 肩透かしのお返事になりそうで申し訳ないのですが、田七人参の中薬学的考察方面においては様々に問題もあり、たとえば温性というのが定説のようですが、温でも寒でもなく、平であるとの論証が中国国内の某氏によってなされているほどです。
 たしかに温性であるとされる従来の解釈では、あまりにも矛盾が多すぎるからです。
 また、残念ながら日本では食品扱いされる状況からは、健康食品分野での過大評価による販売目的の過度な宣伝や販売合戦など、品質問題を含めて、あまりにも問題が多過ぎます。

 田七人参が日本国内にようやく輸入され始めた当初、当時の情報では9等級くらいの品質の幅がありました。現在はどの程度の幅の品質における等級があるのかは知りませんが、品質そのものにあまりにも大きな落差がある性質上、早急に日本国内において、正式な医薬品として厚生労働省に申請する勇気を持った製薬会社が現れないことには、いくら巷の陰で、効果効能を云々詮議立てしたところで、田七人参の本当の姿を解明し、論議することも困難だと思います。
 次善の策としては、中国語原書の中薬学書を広く漁って、中医学的な学習ととともに、現代医学的な解明を学ぶ以外に方法はないと思います。

 中略

 田七人参の医薬品の許可を得ることが出来ない日本の製薬会社は、まことに怠慢極まりないと考えているところですが、日本国内ではまったくの「健康食品」なのですから、コメントする気にもなれません。
 でも、さいわい貴方は様々に考察を巡らされているわけですから、その調子で試行錯誤されることこそ、大いなる学習と思考訓練になるわけですから、今後の発展に期待申し上げると同時に、心からお慶び申し上げる次第です。
                       頓首

ヒゲジジイ


折り返し頂いたメール:
 お忙しいところ、早速のお返事ありがとうございました。
 そのような事情があったのですね。
 これからも勉強を重ねて自分のものに出来たらと思います。

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posted by ヒゲジジイ at 23:41| 山口 ☔| 間違いや問題の多い日本の漢方と漢方薬 | 更新情報をチェックする