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関東から一週間前に来られた人で、病状や服用された方剤を記すと、個人的にその漢方薬局さんに特定されたら困るので、その詳細までは書かないで欲しいという希望である。
(地元の漢方薬局に行った理由は、病院漢方で無効だったため。)
人参や乾姜(乾燥生姜ではない)が配合された温補剤を販売され、四日間は劇的に調子がよくなったが、その後は身体が過度に温まる一方で、全身が燃えるように熱くなり、動悸も止まらなくなり、挙句の果ては胃を障害して食べれなくなった。
めまい感やふらつきもあり、この歳(中年)になるまで、これほど気分の悪いことは生まれて初めてというほど異常な体感であったという。
そこで直ぐにその薬局さんに相談に行くが、正邪相争の状況で、病邪と漢方薬が戦っている最中に中断されると、治るはずのものも治らなくなるので中止してはいけないということだった。
ところが日々悪化する一方なので再三再四訪れて配合変化を依頼するも、最初に効いた漢方薬は最後まで続けるのは漢方医学や中医学の常識だから、断じて配合は変えるべきではないとのたもうのだった。
それでも執拗に通い続けると、仕舞いにはあからさまに嫌な顔をされるので、通うのをやめて漢方薬を中断すると、燃えるような熱感は2割ほどは軽減したが、胃障害は続いたまま全身の熱感はそれ以上の改善はみられない。
という次第で遠路はるばる下関までやって来られ、大柴胡湯・加味逍遥散・黄連解毒湯・杞菊地黄丸で胃症状はしだいに改善し、同時に全身の熱感も波打ちながら一週間経つうちにはかなり軽減して来た。
メマイ感もようやく8日目頃にはほとんど消失し、ちょと早めながら昨日やって来られたばかりである。
今後は黄連解毒湯による冷やし過ぎに注意が必要で、だから臨機応変に増減ができる錠剤を使ってもらっている。
温補剤に限らず清熱剤においても、短期間で急転直下寒熱が逆転する場合があるので、臨機応変に配合変化が必要になるのは常識であるが、巷では上述のように一度効いた漢方薬は最後まで続けるべきとの間違った考え方が漢方専門薬局や病院漢方でも定着しているのかもしれない。
同様に昨日も、気管支拡張症で来られた男性が、最近、朝方寝汗をかいて緑色の痰が出るというので、病院での治療薬を効くとクラリスなど西洋医学治療の常套手段に混じって、10年前の大腸の手術後から今に至るまで大建中湯を毎日続けているという。
おそらく大建中湯による温補過剰により肺陰を損傷すると同時に肺熱を誘発している可能性が大きいので、もはや惰性で服用されている大建中湯は中止すべきことを進言したばかりである。
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ラベル:大建中湯