2013年04月15日

不安感を伴う不定愁訴やアレルギーなどの改善例:東海地方の内科医の先生からのおたより

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おたより:東海地方の某クリニック院長(内科医)

ちょっとお久しぶりです。
私は精神科医ではありませんが、さまざまなストレスにともなってメンタルを傷めたかたが、SSRIとか抗不安薬を心療内科から頂いても満足できない状況で漢方薬を希望して受信するかたがいらっしゃいます。
 初診のときには問診に時間がかかりますし、患者さんも、話したいことがおありのようでして、結構お一人診ると渋滞しています。
 しかし、ときに興味深い患者さんもいるいるようです。

60歳のご婦人です。
初診したときは、食べると下痢になる、ゲップが多い、喘息の発作がでることもある、ということでした。当院へ受診するまえ、近くの漢方薬を処方してくださるクリニックへ受診していますが、転院してこられました。
 症状の説明に混じっていろいろな個人的なお話がありましたので、前の先生もストレスを感じていたかもしれません。

脾虚と腎陽虚を疑って六君子湯と八味丸を処方しました。消化器系の症状は改善し、喘息もアドエアー使用しないまでに改善しました。
一昨年の10月に秋の花粉で喘息がやや悪化し、八味丸を増量しています。
その後、胃内視鏡および大腸ファイバーも受けて異常はなかったそうです。

昨年の2月に事情は不明でしたが、不安感が顕著となり眠れない日が続いたそうです。六君子湯と加味帰脾湯と桂枝加竜骨牡蠣湯の合包を処方しました。
 それまで訴えていた腹部の不定愁訴と不安感は治まりました。

4月になっていつもの花粉症が始まりましたので、一応点鼻薬および点眼薬を処方しましたが、それらは使用しなかったそうです。

6月になりますと、また腹部の不定愁訴があり、近位の専門医受診していますが、「ここの範疇を越えている」と言われたそうです。

7月、 夏になるといつも発疹が出来ていたそうですが、「この夏はだいじょうぶです」と笑顔でした。
9月、健康診断をうけたそうですが、「心配していたLDLコレステロールも171で横ばい状態でした」とのこと。
12月、「寒くなると喘息が悪化していましたが、この冬は良いです」
今年3月、「そろそろ花粉症が出るころなので、点鼻薬と点眼薬をください」とのことで、処方しました。
4月、「周りのかたは花粉で大変そうですが、私は平気です。点鼻薬と点眼薬も使っていません」

腹部の不定愁訴で初診された患者さんですが、六君子湯と八味丸で投薬を開始して、不安神経症にたいして加味帰脾湯と桂枝加竜骨牡蠣湯を加えたところ、メンタルが改善し、喘息および花粉症も改善してしまったという症例です。
 後から振り返ると、漢方薬でメンタルの偏りが調整されて、アルルギー反応も改善したという感じかもしれません。

「範疇をこえた」病態が漢方薬で、しかも、エキス剤で良くなった訳でして、またしても、「漢方薬恐るべし」という感を強くしました。
それにしても、訴えが多いと、つ・か・れ・ま・す。

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お返事メール:

ブログへのご協力ありがとうございます(笑。
 先生はiPadを使用されるとは恐れ入ります。小生はもっぱらノート型パソコンばかりで、iPadはおろか携帯電話さえ使えません(苦笑。

 不安感を伴う不定愁訴の患者さんは、訴える内容が取りとめなく、時間ばかり浪費して次の患者さんが待ちくたびれ、さぞや大変なことになることとお察し申し上げます。
 それにしても、的確な漢方薬の運用で、状況に応じた臨機応変の対応をされた成果を得て、お見事だと存じます。

 昨今、村田漢方堂薬局には相変わらず遠方からステージ4の癌患者さんや進行癌や初期癌の人たち、あるいは難治性の疾患のご相談者がポツリポツリと途切れることなく、といっても毎日新人さんは僅か1〜3人くらい来られる中に混じって、本日なども近畿地方のやや辺鄙な場所から、全身的な不定愁訴(過食症に伴う問題)のことで、日帰りの予定で来られた若い女性がおられました。

 幸い午後だったのでたっぷりと相談時間が取れたので、ようやくひねり出した方剤が大柴胡湯、分消湯、西洋人参、予備で茵陳蒿湯というもので、これで速効が出たら我輩は天才ではないかと思ったり、これで無効だったら廃業しようかと、両極端な気分に襲われるほど考え抜いた結果でした。

 ともあれ、専門医の先生から「範疇をこえた」病態といわれるものであっても、漢方薬の守備範囲は世間で思われる以上に広範囲であることはご指摘の通りだと思います。

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posted by ヒゲジジイ at 19:46| 山口 | 更年期障害・自律神経失調症や不定愁訴症候群 | 更新情報をチェックする