例の女性経営者が無資格で漢方薬を販売して逮捕された事件のことである。中国で中医師の免許を取得しているという話だが、もちろん日本国内では通用しない。
ヒゲ薬剤師は昨年お電話で、これに類似した危険な相談を受けたことがあり、手が後ろに回りますよ、と未然に警告したことがある。
漢方薬を調合するには何か資格が要るのですかという意味不明な質問の電話
午後の遠方の常連さんのための荷造りに忙しい時間帯にかかった若い男性からの奇妙奇天烈な電話。そもそも世の中の風潮が漢方薬をあまりに甘く見過ぎているから起こったような事件に思えてならない。
「友人が漢方薬に詳しいんですけど、漢方薬を調合するには何か資格が要るのですか?」というまったく意味不明なお問合せの電話である。
個人が自分の為に原料を調達して調合するのは自由だが、それを商売としてやるとなったら薬剤師の免許がなければ、即、薬事法違反でっせ〜〜、後ろに手が回り万年、と答えれば、えっ!免許が要るんですか?と素っ頓狂な声。
そもそも、友人が漢方に,詳しいなどと、他人事みたいに質問してくるのはきまってウソで、本人自身の問題を友人の代理で訊くような素振りを見せる常套手段に過ぎない。
薬剤師の免許がいりまっせ〜〜〜という意味が分からないようだから、国家試験ですよ〜〜〜、国家試験。
このクソ忙しい時間帯に「友人が漢方薬に詳しいんですけど、漢方薬を調合するには何か資格が要るのですか?」という質問自体が本人のことに決まっているが、どれだけ漢方薬に詳しいというのだろうか?
薬剤師という言葉自体が理解できないような奇妙奇天烈な電話を終わって気がついたことに、またまた漢方薬を健康食品と勘違いしてるんじゃないのかいなっ!?と思ったことであった。
あの某大手ポータルサイトであり、検索エンジンの利用者が半端じゃない巨大組織にして「健康食品>漢方薬」とした確信犯的な錯誤を便宜上だと居直るような風情で堂々と掲げているネット界の実情である。
漢方と漢方薬の正確な実体、つまり、正しい意味と用語法は?
無資格で漢方薬を販売していた連中といい、購入する側のシロウトさんも、健康食品感覚であったのではないかと邪推されるのである。
最近も、お電話のお問合せで、婦人科疾患でかかった病院から当帰芍薬散を一ヵ月分処方されたが、却って体調が思わしくないので、そちらに直接行けば御相談に乗ってもらえるだろうか?との質問があった。
当方は、当然のことならが、漢方薬の購入を前提とした相談であるから保険は効かないのだから、もう一度、その病院に戻って相談するようにアドバイスしたところ、いやいやそのことでもちろん医師に相談したのだが、漢方薬は薬じゃないんだから(続けるか止めるかは)ご自由になさって下さい、という返事だったというから驚くではないか!
医師免許のある医師でさえ、漢方薬に対する認識が「薬ではない」というのだから、この日本国では驚くべき錯誤が蔓延しているとしか思えない。
事実このお医者様に限らず、一般の人こそいまだにネット上で大手ポータルサイトが掲げ続ける(ヒゲ薬剤師の直接送った猛烈な抗議にもかかわらず!)錯誤した「健康食品>漢方薬」というパンくずリストを信じ込んでいる人が多い現実なんだから、どうすりゃいいの〜〜〜この国の無教養さは、と思わざるを得ないではないか。
ラベル:漢方薬の冒涜
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