発送のほうも毎年必ず常連さんが補充忘れの常備薬の発送依頼が複数あるので、これも休日中の恒例行事となっている。
ところで、今年も目立ったのが難病系統以外では、タイトルのパニック系の柴胡加竜骨牡蠣湯や桂枝加竜骨牡蠣湯タイプと、鬱病系の四逆散というのがとても目立った。中には両者を兼ね備えて併用するタイプも多い。
これらの病状が長引いていた人の多くが、腎に波及して六味丸系列の方剤も必要とした。苦しいパニック症状を頓服的に治めるには麝香製剤や牛黄製剤の頓服や常用もあった。
10年以上前にも、会社の前に行くと吐き気発作が起こって、カラエヅキを何度も繰り返す男性に、柴胡加竜骨牡蠣湯と四逆散を合わせて一年もしないうちも緩解したケースがあったが、これなどはパニックと鬱が合併してケースである。
しかしながら、不思議と村田漢方堂薬局のようなガジガジ爺のところには、加味逍遙散タイプは来られないし、また無意識に避けている節も無きにしも非ず。
ところで、様々な疾患の悩みで来られた方の中にも、隠れた鬱症状を見つけ、四逆散系列の方剤や六味丸系列の方剤を加えることで一気に解決の糸口を掴んだことも再三再四であったのに、定期便のように毎月来られていた若い女性が突然来られなくなって、しまった!と思ったことが一例あった。
体質改善の例の三点セットが気に入ってインチンコウトウとともに気長く併用するつもりでいたはずの彼女であったが、最後の日に「今日はえらい元気がなさそう」だねっとヒゲジジイみずから指摘しておきながら、この人も裏に鬱が隠れていたことを、突然来られなくなって気がついたのだった。
そもそも自らの意思で積極的な姿勢で来られた人達の場合、突然、やめてしまわれることはほんの少数に過ぎない。
ところが身内や家族の奨めで連れて来られたケースの半数は数ヶ月も経たない間に無音(ぶいん)となる。明らかな薬効が出ていてもこの通りである。
それゆえ、みずからの意志で来られた人でない限りは、滅多なことで受け入れないつもりであるが、再三再四のたっての願いに断りきれなくなって応諾したケースばかりであってもこの通りである。
2〜3ヶ月すら続けられないのだからお話にならない。本人の積極的な姿勢で来られた訳ではないから、この結果となるのであろう。
それにしても先述の「このままずっと続けます」と言っていた彼女が突然中断した最後の愁い顔こそ隠れた四逆散証であったのにと、これだけは今年一年間でもっとも悔やまれる出来事であった。
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