張瓏英先生とヒゲの無い頃のヒゲジジイ posted by (C)ヒゲジジイ
二十数年前、張瓏英先生とお会いした時に、中医学を学んだお陰で、煎じ薬を作る必要がほとんどなくなったことをお話しすると、とてもとても不思議そうな顔をされた。
その理由を縷々説明させて頂くと、大きく頷いて頂けたときの状況を折々に思い出す。
上掲の写真はその折に当時の受付嬢に撮らせたものである。
煎じ薬を用いなくとも、弁証論治をしっかり行えば、既成の各種漢方エキス製剤や単味のエキス製剤などを組み合わせれば、煎じ薬に決して劣らない威力を発揮することは現実にしっかりと実証して来たつもりである。
むしろ一部の煎じ薬よりも、それを上回る効果を発揮できるケースもある現実は、たとえば托裏消毒飲(たくりしょうどくいん)。
この方剤はエキス製剤の実現を某社に依頼したものの、あらゆる努力を尽くしても、日本の薬事法上、現時点では許可の取りようがないとのことだった。(日本が漢方の後進国である所以である。)
それゆえ苦肉の策で考案した配合が、托裏消毒飲でも紹介している通り、
・衛益顆粒(玉屏風散エキス製剤)
・荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)のエキス製剤(金銀花や人参が必須!)
・白花蛇舌草(びゃっかじゃぜつそう)のエキス
という三者の併用である。これによって現実に、托裏消毒飲の煎じ薬の効果を上回る能力を発揮してくれるので煎じ薬を用いる必要がない。
さらには念願の補気建中湯こそ、ヒゲジジイのたっての依頼に応えて小太郎さんがエキス製剤を実現してくれているので、煎じ薬の必要がなくなって久しい。
エキス製剤を各種組み合わせることで最も有利な点は、アトピー性皮膚炎など変化の激しい疾患の場合、日毎に方剤の内容や配合比率を変化させるのが極めて容易である。
その点、煎じ薬ではいったん配合してしまうと、日々の状況に応じて臨機応変の配合変化を行うのが困難である。
本質的に重要なことは、中医学理論を学んでおれば病機分析によって治法を考案し、これによって基本方剤を設定した後に、諸証に基づいた個別性に配慮した実際処方は既成のエキス製剤を複数用いた配合(組み合せ)で十分に可能となるほど融通性があるのが構造主義科学としての中医学の優れた特徴であると思うのである。
ハクセキレイ posted by (C)ヒゲジジイ
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