2012年10月13日
炙甘草湯エキス製剤のみで心房細動が完全消失して9年以上
IMGP7627 posted by (C)ボクチンの母
心房細動の原因までは究明されてなかったようだが、10年近く前、八十歳近いご高齢者の相談を受けたことがあった。
病院に何年通ってもまったくリズム感のない心房細動の鼓動はびくとも改善しないということだった。
しかしながらご家族で誰一人として当方の漢方薬の利用経験者がおられない場合のご高齢者の漢方相談は、よほどの例外(ご本人の漢方薬による治療意欲と頭脳明晰という必須条件)でもない限りは、丁重にお断りするのが通例で、病院にお任せするべきだと逃げ口上を述べながら、舌を拝見すると無体で鏡のようにテカっている。
まさしく炙甘草湯証の典型的な舌証を備えているように見えた。
そこで10日分だけお渡しして、効果がなければ漢方薬はあきらめて、病院治療に専念されて下さいと、これまた逃げ口上(苦笑。
これが超速効を得て劇的に心房細動が消失した。
以後はいつの間にか、1日3回服用すべきところを1日2回の少ない服用量ながら熱心に続けられて、気が付けば既に9年以上を経過した。
最近、24時間のホルダー心電図を装着して計測した結果、僅か3個の不整脈が存在したのみで、基本的に治癒した状態が9年以上も続いていることが確認され、御礼を述べられたばかりである。
中医学では炙甘草湯は心房細動の基本方剤であると張瓏英先生の諸著作には繰り返し記載されていたが、現実にはすべての心房細動が炙甘草湯で対処できるはずもなく、炙甘草湯証間違いなしと思っても、現実的にはその効果においては個人差がとても大きいものである。
ともあれ、既に九十歳近くになられ、このような安上がりな炙甘草湯エキス製剤のみを1日2回の服用で、病院治療でもまったく無効だったものが、短期間に速効を得て以後も連用することによって9年以上も二度と再発がみられないことは実に慶賀すべきことである。
とっても小さな1cmにも満たない小さな花 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 21:32| 山口 | 不整脈(心房細動など)を伴う拡張性心筋症などの心疾患
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