2006年12月13日

沈香についての御質問

御質問者:東海地方の内科医師
 今日は、仕事場からメールしています。
 いつも貴重で臨床の益となるご助言ありがとうございます。
 本日は、ある製薬メーカーさんから沈香なる生薬について情報の提供を
受けました。
 本来は自分で検索すべきことですが、いかなるものか、使用するに耐えられるものであった場合、どのような適応があるのか、についてご教示いただければ幸いです。
 いつも生き字引に頼ってしまって恐縮です。

お返事メール:
 沈香は、辛・苦・温の性質で、帰経は脾・胃・腎、効能は、行気止痛散寒・温中止嘔、温腎補陽納気・降逆平喘などで、禁忌は気虚下陥(補中益気湯証など)や陰虚火旺(知柏腎気丸証など)で、このような体質の人には使えません。
 沈香と肉桂はよく比較され沈香は理気に優れ気滞の解決に長じ、肉桂は温陽に長じて陽虚や散寒に長じると言われます。
 それゆえ、寒涼薬によって生じた氷伏を解消するには、肉桂とともに沈香も有効であることは間違いありません。
 氷伏を防ぐ薬物としては肉桂よりも行気作用が優れているだけに、未然に防止する薬物としては肉桂よりも刺激性が少なく温和かもしれません???
 明らかな氷伏が生じて以後は、肉桂の方がシャープなように感じます。
 蛇足ながら日本で桂枝や桂皮として使用されているのは、すべて中医学における肉桂が使用されています。

 以上、簡単ながらお返事まで。

村田漢方堂薬局 村田恭介拝

折り返しのメール:沈香について詳細にお教えくださいましてありがとうございました。
posted by ヒゲジジイ at 19:45| 山口 ☔| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする