性別 : 男性
年齢 : 60歳〜69歳
御職業 : 会社役員
具体的な御職業 : 販売業
簡単なご住所 : 東北地方
お問合せ・ご連絡内容 : 人に進められてこれから使おうとしているのですが、なぜ小柴胡湯を使う方がすくなくなってきたのでしょうか?
お返事メール:お返事が送れて申し訳ありません。
正直なところ、御質問の内容があまりにも安易に思えてお返事する気にもなれなかったのです。
しかしながら、漢方薬といえども医薬品であり、必ず体質に応じて使用すべきものですから、やはりオーバーな表現ながら、些かの警告めいたご注意を申し上げる必要を感じてコメントをお送りすることにしました。
繰り返しになりますが、医薬品はシロウトの他人さんに奨められて服用すべきものではありません。間違っても滅多なことで重大な副作用はありませんが、ピントがずれていたら、小柴胡湯の場合では、高血圧の人はよけいに血圧を上げるでしょうし、乾燥性の咳嗽など乾燥性の気管支炎の持病がある人には逆効果です。
小柴胡湯が過去に問題になった歴史は、医療用漢方の製造メーカーの積極的な働きかけもあって、肝炎には小柴胡湯というあまりにも短絡的且つ錯誤した使用方法が日本国中を席巻し、毎年何百万人もの人に投与され続けた結果、ごく少数の人に間質性肺炎が生じたとの報告がありました。
他の合成医薬品の併用などの事実もあるなどの理由から、小柴胡湯原因説をいまだに疑問視する専門家も多数おられますが、少なくとも漢方薬といえども、たとえ医師であっても漢方医学についてのシロウトが扱うなどにより、極端に錯誤した使用方法が行われると、稀には重大な副作用が起こるかもしれないとの警告だったといえるかもしれません。(病院で出された医療用漢方でのみ起こった不祥事です!)
このような報道がなされる前に警告として、肝炎に小柴胡湯という短絡的な病名治療は錯誤に近いとした拙論を過去に書いていますのでご参考までに・・・・。
小柴胡湯問題が勃発する以前に警告していた19年前の拙論 和漢薬誌419号(1988年4月号)の巻頭論文
頓首
ヒゲ薬剤師
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