2006年12月01日

14年来の慢性鼻炎による後鼻漏

性別 : 女性
年齢 : 20歳〜29歳
具体的な御職業 : 専業主婦
簡単な御住所:関東地方
お問い合わせ内容 : はじめまして。
 どうかアドバイス宜しくお願いいたします。
 14年くらい前(中学生の時)から、慢性鼻炎の後鼻漏(ドロッとした鼻水が喉の方へ降りてくる)の症状が出て、耳鼻科・大学病院・整骨・鍼・煎じる漢方薬など、様々な治療をしてきましたが、何をやっても全く効果が感じられませんでした。

 なお、耳鼻科の先生からは「慢性の後鼻漏は治らない」と言われました。(鼻水の色から見て、蓄膿症ではないと耳鼻科では言われております。)

  症状としては、鼻の穴からは鼻水は出ず、一日中 鼻から喉(口)の方へ漏れます。漏れてくるというより、「鼻〜口の間」と「喉の下」に(ネバネバした硬めのタンのような鼻水が)粘り付いていて、一日中、不快で気持ちが悪く、一番辛いのが、それが原因で起きる「口臭」です。
 あと、感じる事は鼻と喉がいつも乾燥ぎみで、特に朝は鼻の奥や喉が乾燥して張り付いてしまうような感覚があります。口や喉がカラカラになって起きるというような感じです。(起きている時も寝ている時も鼻呼吸をしています。)
 なお、鼻づまりは全くありません。それとここ何年か、ずっと舌が麻痺しているような?渋柿のような味で、軽くヒリヒリジンジンしている感覚の舌痛症のような症状があります。
 鼻水の色は、主に透明か、もしくは泡だったような白の時もあり、朝はまれに少しだけ黄色がかったりします。「カーッぺ」みたいな事をしない限り、粘りついたタンのような鼻水を出す事ができません。
そのせいでいつも口の中が甘苦く、とても気持ちが悪いので、いつも水分をとって、鼻〜喉の辺りにへばり付いている鼻水(タン)を飲み込むようにしたり、口の中の不快感や味をごまかす為にアメやガムを噛んだりしています。つばを飲み込む時に、鼻〜のどに付いているタンのような鼻水が、つばと一緒にきれる為、とても不快な匂いと味を感じます。(説明が下手ですみません。。)

  長年一向に良くならず、何をしても改善せず、もうどうしたらいいのか分からず、メールさせていただきました。
 どうしてもどうしても、一日も早く、治したいです。
 
 正直この先もこのまま治らないと思うと、生きていく自信がありません。でもどうかこの病気を乗り越えて、元の健康な自分に戻りたいです。もし効果の期待できそうな漢方がありましたら、直接伺いたいと思っています。お忙しいところ申し訳ございませんが、どうかアドバイス宜しくお願いいたします。


お返事メール:拝復
 ちょうど貴女とほとんどそっくりに近い症状(蓄膿症ではない後鼻漏)に悩まれて、もっと遠い場所から直接、二泊三日で来られた人があります。
 現在、三か月近くになりますが、10日毎の微調整により後鼻漏は波打ちながら、一ヶ月目頃の微調整の配合で一時は半減したのに、当方の判断ミスでその配合を中止してしまったために、かなり逆戻りしてしまいました。

 現在またその配合を少し補強したものに戻して報告待ちの状態ですが、基本的な方針は立っているので、後鼻漏そのものは8割緩解レベル(10のうち8は改善という意味)ならは治せると思っています。

 荒れた粘膜を滋潤しながら、発生する滲出液を排除するという、一見相反する配合をバランスよく行うのがテクニックなのですが、お互いの根気があれば一定レベルの緩解は十分に可能なのです。

 ところで蓄膿症に伴う後鼻漏は過去には相当な人数の人を何人も漢方薬で8割以上の緩解を実現しています。

 しかしながら、貴女や上述の人のような蓄膿症ではないタイプの後鼻漏ということですが、中医学的には基本的な考え方は病名は勿論大いに参考にしますが、

 疾病状態とは、五臓間における気・血・津液の生化と輸泄(生成・輸布・排泄)の連係に異常が発生し、これらの基礎物質の生化と輸泄に過不足が生じたときが病態である。
 それゆえ、五臓それぞれの生理機能の特性と五臓六腑に共通する「通」という性質にもとづき、病機と治法を分析する。これにより、

 @病因・病位・病性の三者を総合的に解明。
 A気・血・津液の昇降出入と盈虚通滞の状況を捉える。
 これらによって、定位・定性・定量の三方面における病変の本質を把握する、

という基本事項を厳守し、かつ基本方剤を大切にしながら、

 病性の寒熱に対応した薬物を考慮しつつ、@発病原因を除去し、A臓腑の機能を調整し、B気血津精の疏通や補充を行う。


 という基本事項を忠実に守れば、多くの疾患は8割以上の緩解を見て当然です。

 貴女はシッカリとメールで表現が的確に出来るようですので、一度、こちらに直接来られていれば、その後はしっかりとピントがあうまで10日毎のメール相談での配合の微調整で、遅かれ早かれ8割は緩解すると思います。しかしながら、8割以上の緩解は9割緩解まで行くか? 症状の多少の名残は残るように思います。慢性疾患における完全治癒は、厳密な意味で言えば、ほとんど実現不可能ではないかと思います。

 また、とても焦られているようですが、微調整に手間取ると、直ぐ直ぐというわけには行かない場合もあり、上述の人のように、時に当方の一時的なミスをおかす場合もあり得ます。
 但し、この方におかしてしまったミスは二度とやらないつもりですから、この方の教訓を貴女には大いに活かせる可能性も高いように思います。(なにせ殆んどソックリさんですから・・・)
 また、合成医薬品と異なって、副作用の心配などほとんどあり得ないし、当方も決してどシロウトとは訳が違います(笑)ので、貴女の本気度如何による部分が大きいことと思います。
 
 なんだか頼りないお返事になったかもしれませんが、過去三十年以上の経験からは、服用される人に根気がある限りは、どのような疾患でアレ、ほとんどすべての疾患を(8割緩解のレベルという条件付ですが)緩解状態に持ち込めていることだけは確かです。
 漢方と漢方薬は、上述のようなかなり繊細で理詰めのピンと合わせが必要ですので、お互いに一定期間へこたれない不屈の根性をもって頑張る必要があります。これなくしては、8割以上の改善を得ることは困難なことでしょう。
 以上、取り急ぎお返事まで。
                       頓首

村田漢方堂薬局 村田恭介拝

折り返しのメール:とても参考になるアドバイスいただきまして、どうもありがとうございました。
素早いお返事に心より感謝しております。
12月中にそちらに一度伺いたいので、
日程など決まり次第、またご連絡させていただきます。
本当にありがとうございます。
これからどうぞ宜しくお願いいたします。
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posted by ヒゲジジイ at 03:25| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする