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当時、シャルコー・マリー・トゥース病という病名すら知らなかった。
gooヘルスケアによると
遺伝性ニューロパチーのひとつで、下腿・足に始まる四肢遠位筋(ししえんいきん)の萎縮(いしゅく)・筋力の低下を主徴とする疾患です。欧米では多い病気ですが、日本での頻度はあまり高くないとされています。十年以上も前に歩行障害が少しでも楽になればと漢方薬を求めて来られた方の主訴は、下肢の筋力低下に伴って歩行による負担が両膝痛として出現していたので、弁証論治に忠実に方剤を選択することで、疼痛は軽減し、歩行がかなり楽になり、とても喜ばれていた。
筋力低下に対する補中益気湯類の併用も加えて徹底的に継続服用されれば、進行を食い止め、杖を外す可能性も見えてきそうで、こちらの方がとても楽しみにしていたのだが、途切れ途切れの利用が続き、いつの間にか無音となられた。
明らかな漢方薬の効果が見えていただけに、難病系統の人達こそ、往々にして漢方治療半ばでいつしか無音となられる現実に、いつも首を傾げざるを得ないのだった。
漢方薬をいくら工夫しても効果が皆無となれば、愛想をつかれて無音となるなら尤もなことではあるが、そうではなくて、どこの漢方薬でも同じことだと思い込んでいる人達が予想外に多く、他所の漢方に移ってしまい、そこでは効果が出なくなったので、漢方薬はやっぱり一時的に効いても、結局は効かなくなると誤解されている人(難病系統の人達)が意外に多い。
たとえば線維筋痛症の例でも、初期には真武湯に疏風活血止痛の方剤類で著効があっても、そのまま続けていたら一転、熱証に転化して真武湯とは真逆の清熱舒筋の方剤に切り替える必要が生じた実例がある。
もしも熱証に転化した状況を見逃して、いつまでも初期に速効を得た真武湯に固定し続けた投与が続くならば、寒証による疼痛から、今度は一転、真武湯を持続する弊害が生じて熱証による激しい疼痛が悪化の一途を辿ることになる。
このような状況変化の機微をすかさず察知して漢方薬の配合変化を行うのが常識であるが、難病系統の人達の中には、状況変化に応じた臨機応変の配合変化の必要性を説いても、最初によく効いた漢方薬を入れ替えることに却って不信感を抱いて、そのまま中断されてしまったことが若い頃には多発した。
昨今ではそんな馬鹿な連中はほとんどいないが、当時はどうして理解してもらえなかったのか不思議でならない。配合変化の必要性を説けばとくほど不審がられていた人達の顔が思い浮かんで、当時のじれったくも腹立たしい気分が思いだされるのだった。
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ラベル:シャルコー・マリー・トゥース病 線維筋痛症
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