とくに、いつも論じられている”五臓間における気・血・津液の生化と輸泄の連携の問題”について考慮にいれてみたいと思います。
それから過日お教えいただいた処方を参考として、慢性の乾燥した咳にたいする組み合わせ、滋陰降下湯+芍薬甘草湯+五味子をいれるために小青竜湯、を処方しましたところ、「今までになく咳が楽になった」と喜んでいただけました。まことにありがとうございます。
息子さんが血液内科に所属とのことですが、内科のいなかでは4K(苦しい、きたない、きつい、興味ぶかい)と当地域では評価されている診療科です。圧倒的に3Kが優位のところですので、くれぐれも体調にご留意くださいますよう機会がありましたらお伝えください。
ヒゲジジイのお返事メール: 乾燥咳の漢方処方、随分面白く興味深い配合で、こちらの方こそとても参考になります。小青竜湯も先生のようなバランスの取れた配合であれば、有用性が拡がるわけですね。
ところでブログを御覧頂いたらお気づきかもしれませんが、編集後記として、
たとえば「甲状腺機能亢進」における中西医結合による弁証分型をいつものように提示しない理由は、臨床の実際においては意外に現実にマッチしないところも多々あるのみならず、限りなく西洋医学に近づきすぎる「同病異治」の世界である。
それゆえ、日本古方派の数少ない優れた点の大きな一つ「異病同治」の観点からは、病名は参考にはしても中西医結合的な弁証分型にはこだわらずに、基礎理論はすべて中医学理論に基づきながら、常に「異病同治」の方向を主体にしているのが「中医漢方薬学派」のアイデンティティーなのである。
という駄文を加えておきました。
また、愚息への貴重なアドバイス、まことにありがとうございます。滅多に愚痴を言わない子のはずですが、通りで時に弱音の雰囲気がかすかに感じられる時があったことの意味が分かりました。医師になって5年になりますので、あの雰囲気では既に泥沼?に嵌ってしまったのかも知れません(笑)
頓首
編集後記: 上記の「滋陰降下湯+芍薬甘草湯+五味子をいれるために小青竜湯」という配合は、うかつに初心者やシロウトが真似してよい配合ではなく、あくまで弁証論治にもとづく専門家の配慮によってなされるべき配合である。これら三処方の配合によって甘草(カンゾウ)の配合分量が膨大なものになり、これによって水滞を生じやすくなるので、適応症があってはじめて成り立つ配合である。きっと配合比率を変化させるなどその辺の配慮はきめ細かくされておられるであろうから、継続服用が可能となるのである。
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