それだけにきっと勉強熱心な同業者(薬局経営の薬剤師)が殆どだと信じて、今後の生き残りの方策とヒントを伝授しておきたい。
中には「村田ワールドですね」と揶揄する同業者もあるそうだが、ヒゲジジイとしては褒め言葉として受け取っているつもりである(笑)
それでなくとも医療用漢方に圧されてジリ貧気味の薬系の漢方業界である。と言っても医療用には見られないユニークな漢方製剤がまだまだ豊富にあるので、知識と経験さえあれば、治りにくい病気でもかなり緩解に導けることは間違いない。
ところが、昨今気がついたことに、業界内では顰蹙ものとしてヒソヒソささやかれても、あまり公然とは論じられない問題に、ヒタヒタと押し寄せるネット上での価格競争である。
HPを持たない多くの漢方薬局も、お馴染みさんが突然みえなくなったことで次第に事の重大さに気がつき始め、たまたまネット上の医薬品類のお誘い販売サイトの価格を知って呆然とし、家業を続ける意欲をなくしてサッサと店を閉じてしまった薬局すら出てくる始末である。
ある漢方メーカーの幹部は、今頃の若い漢方薬局の経営者は、販売のことばかり考えて、勉強熱心な先生はほとんどいない。昔は勉強熱心な薬剤師さんばかりだったのに、実に隔世の感があるように嘆いておられたが、その幹部こそ、自社製品が安売り競争の対象品になっていることに腹ではほくそ笑んでいたに違いないと思うと、どっちもどっちじゃないかっ!と慨嘆せずにはおれない自縄自縛の漢方業界である。
事ほど左様に今や薬系の漢方業界では、ネット上における安売り販売に戦戦兢兢としているのである。
それに対抗するには同様に価格を下げると弱小店ではあまりに薄利でやっていけない。かといって、同列の土俵に乗って厚生労働省から再三再四、自粛を要請されている医薬品のネット通販に参入する勇気もない。
それではどうすればよいか?
やはり対抗措置として、価格は下げざるを得ないだろう。後は知識と技術の勝負で付加価値をつける以外に生き残る道はないのである。
当然のことながら、かくいう村田漢方堂薬局も断然対抗措置を取り、
(漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱より)ということである。我が薬局では、今はやりのメタボリックシンドロームにかなり効果のある扁鵲(へんせき)という漢方薬は、昨年まで愛用者が多かったのに、メタボリック症候群が騒がれだした途端、販売量が激減した。
「食わずに走れ!」などと見も蓋もないアドバイスを贈っていたのが功を奏したものと思っていたが、それにしても不思議なので、ふと思いついてネット上の医薬品のお誘い販売サイトをネットサーフィンして納得した。
知らない間にネット上では安売り合戦が始まっていたのだった。それを知って急遽どこにも負けない安価に設定し、加えて他の漢方製剤を総点検したところ、従来からどこにも負けない安価な製品も多数あったことに我ながら驚いたものの、世間並みだったものも、一律、どこにも負けない価格設定に急遽変更したのだった。
紅顔の美少年(?)の時代にはボクサーになりたかったくらいだから、何でも負けるのは歯がゆいもの。ネット販売によるお誘い販売こそ、断じてするつもりはないが、当方のHPやブログ類を見て遠路はるばるやって来られる人が増える一方の昨今である。彼らや彼女らは、当方の腕と知識を見込んでくれたことに間違いないにしても、ネットで調べてこられるくらいだから、後々価格面で引け目を感じたくないのが人情というもの。
我が薬局のような弱小でも、もともと日本一販売量の多い製品を複数もっているほど薬系の漢方業界というのはトテモ狭い世界である。
だから、どこにも負けない価格設定にすれば、当然薄利になって面白くもないが、ピント合わせだけに当方の知識を利用されて、ピントが合ったからといって他の安売り店に直行されたのでは、イヨイヨもって面白くない。
そんな不義理をされるくらいなら、どこにも負けない価格設定をしておくに限ると考えたまでのことだ。
但し、価格ばかりを比較する本末転倒の考え方の人は、従来どおり、お断りし続ける方針に変わりはない。
かくしていよいよ、漢方薬業界では、乱売合戦によって随証治療も弁証論治も完全に忘れ去られ、病名漢方乱立の世界に堕するのであろうか?
医療用漢方に圧されて薬系の漢方もここまで追い込まれたということだろう。
本末転倒の「安かろう、ピンとは合わなかろう」の世界の悪循環に陥る自縄自縛の薬系漢方業界は、もはや救いようがないのだろうか?
きっと耳にタコが出来るほど書いてきたと思うが、漢方と漢方薬の世界は、世間一般で認識されているほど安易なものではなく、適切な方剤を選択することの困難さは、専門家であればあるほど、学問が深まれば深まるほど理解されるはずである。だから知識と技術は絶え間なく磨く必要があるのはいうまでもないことなのだが、経済原則というどうしようもない大きな壁が後ろ側に聳え立つ時代である。
このために、往々にして本末転倒して販売側は安売りに走ってピント合わせの重大問題を閑却し、軽医療の領域はともかく、難治性や体質病、長期に亘る慢性疾患などに困惑されているはずの病人さんまでもが、価格競争の世界に目が眩んで、重大なピンと合わせの問題をいつの間にか閑却して、安く買うことばかりが主眼に摩り替わって来かねない時代の風潮である。
たとえ一度ピントが合った、つまり適切な漢方処方が見つかったつもりでも、四季折々の変化に応じて方剤を微調整する必要が生じることは再々であり、人間様の身体も経時変化するのだから、いつまでも同一方剤の組み合わせだけで通せるものでもない。
そういう基本的な常識を閑却して、適切な方剤が決まったからと安易に安売り店に走った為に、二度と知識と経験が豊富だった専門家のもとへ相談に駆けつけることも出来ないだろう。(でも、そんな失礼を省みない時代風潮だから、そのような不義理は平気な時代かもしれないが・・・少なくとも村田漢方堂薬局では事情によっては二度と受け付けないだろう。)
このような事態を避けるためには止むを得ず、経済原則の波に飲み込まれざるを得ないのである。だから、今後、漢方薬局の経営を目指す人達の参入には相当の覚悟がいることだろう。
医師の世界でさえ、昔のようには簡単に開業が出来ない難しい時代である。身内の医師にも開業を計画して、様々に調査したところでアッサリ断念した者もいる。
小学校では競争を否定するような教育がいまだに行われているようだが、現代社会の現実こそ、過当競争に近い過激な競争が待っている。
このような現実社会にそぐわない教育がいつまで続くか知らないが、どうせヒゲジジイもいい年だし、実際には高見の見物というところだが、日本漢方に中医学理論をどうしても取り入れようとしない我が愛する日本国の不甲斐なさが歯がゆい。
同時に漢方薬を駆使すれば、なんとか8割以上の緩解に持ち込めるのに役立てる知識と経験は多少はあるものと自負しているから、またもちろん生業でもあることから、もうすこし頑張らざるを得ないということである。
蛇足ながら、そもそもヒゲジジイのHTMLとCSSの知識と技術をもってすれば、漢方薬や健康食品類のネット上でのお誘い販売サイトを制作するのは朝飯前である。既に所持してまだ未使用の独自ドメインも10以上はある。
その気になれば、半日で作って見せるが、さすがに適応を誤れば効果がないばかりか、たまには問題が生じかねない医薬品(漢方薬)のお誘い販売サイトだけは制作する気になれないし、第一プライドも許さない。明らかに横取りサイトを作ることになるのだから。
かてて加えて、あれほど厚生労働省が再三再四に亘って、医薬品のネット販売(お誘い販売)の自粛を求め、法制化してでも禁止しようという動きもあるくらいのものを到底やる気にはならない。
しかしながら、万寿霊茸などキノコ類が20種類前後で構成されたお気に入りの健康食品やウチダ和漢薬系の健康食品類くらいは、HP制作技術を活かしてどこにも負けない価格を掲げて、ネット上のお誘い販売合戦に乱入してやろうかという悪魔のササヤキがないでもない(笑)
ところで、悪趣味にも上記のことをすべて3サイトくらい新に作って実現したと仮定すると、日本漢方の将来「中医漢方薬学」の提唱(平成元年の提言!) を発表した当時よりも、もっと大きく漢方業界を震撼させることだろうな〜〜〜と一人想像して楽しんでいる。
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