2012年06月26日

柴朴湯証と思われても多くは適量の麦門冬を加える必要があること

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BSC_8106 posted by (C)ヒゲジジイ

 当時は子供さんの病気で病院で治してもらえない呼吸器系疾患やアトピー性皮膚炎、虚弱体質など、わけ隔てなく漢方相談に乗り、その後根治された人が成人して、他の病気の相談に来られるケースに遭遇する機会が増えている。

 ところが一部の人達は、当時の病状がかなり重症だったために、長期間の体質改善を目指して成人になっても現在に至るまで続けられている人もおられる。

 そのお一人が最近、補充に見えられたのが柴朴湯(サイボクトウ)と八仙丸(麦味地黄丸製剤)の併用である(イオン化カルシウムなども併用)。
 すでに十数年以上、愛用されている配合方剤であるが、当時は重度の小児喘息であったが、この方剤で次第に体質改善が行われ、極めて頑丈な体格・体質に成長され、既に社会人である。

 また、最近も病院治療で治らない慢性気管支炎の中年女性が、柴朴湯に少量の麦門冬湯を加えてやや速効が得られている。

 柴朴湯は日本漢方で繁用方剤となっているが、三十数年前、慢性気管支炎の女性に煎じ薬で飲んでもらいながらも一向に効果がはっきりしないところへ、思案の末、僅か麦門冬3gを加えたところ、著効を奏し、二度と大発作を起こさなくなった。⇒中草薬万段13:麦門冬(麦門冬3gの威力)拙著:「求道と創造の漢方」より

 当時はまだ日本古方派的な考えからようやく少しずつ脱皮しかけたころとて、中医学的な麦門冬の配合意義を定かに言えるほどの知識はなかったが、これらをきっかけにますます中医学理論に傾倒して行くことになった。

 それはともかく、燥性の強い柴朴湯に麦門冬を配合する必要があった所以は、注意が必要な漢方薬の中に書いている通りで、
《顧氏医鏡》で指摘されているように、肺は嬌臓(脆弱な臓器)であり、寒に対しても熱に対しても抵抗力に乏しく、さらには湿に対しても、また燥に対しても抵抗力に乏しいので、麦門冬一味によって大量の温燥薬の行き過ぎによる肺陰の損傷を未然に防止し、肺陰を保護するのである。
 この機微を会得すれば、柴朴湯証のほとんどの人が、麦門冬一味を適量加える必要があり、エキス製剤を使用するケースでは、柴朴湯製剤に多くは八仙丸(麦味地黄丸製剤)や少量の麦門冬湯を加えるなどの配慮が必要となるであろうことは想像に難くないはずである。

 蛇足ながら、補気建中湯中の麦門冬の配合意義を中医学的に研究されると東洋医学の深遠さをますます感じることができるだろう。

 これらの考察は日本漢方ばかりを信奉する限りは永遠に分析不可能な世界であり、それゆえ日本漢方に中医学を取り入れることが必須であると確信し、新たに中医漢方薬学を提唱するに至ったのであった

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BSC_8087 posted by (C)ヒゲジジイ