
IMGP5822 posted by (C)ボクチンの母
【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾
【 年 代 】:30〜39歳の女性
【 地 域 】:関東
【 具体的なご職業 】:薬剤師
【 お問い合せ内容 】:
いつもブログを拝見し、勉強させていただいております。
まだまだ勉強不足で、アドバイスをいただけたらと思います。
80歳台の男性患者さんの相談です。
長期間(10数年)続く、しゃっくりに悩んでいらっしゃいます。
一番最初は、ゴルフをした後に、アルコールをたくさん飲んで出始めたようです。
その後、症状が出たり、やんだりを繰り返しています。
現在、しゃっくり自体は弱く、話をするのも大変そうです。
食事をたくさん摂った後に出始めることが多いそうです。
既往症は心筋梗塞のほかに、服用薬より高尿酸血症、前立腺肥大です。
ひざから下の浮腫がひどく、赤黒くて触ると熱を持っています。
ほかに尿失禁、ほほのピクツキがあります。
舌の状態は、私の所見では、淡紅色で白苔、苔自体に小さいひび割れがあります。
血府逐瘀丸に旋覆花代赭石湯と考えておりますが、いかがでしょうか。
抗血栓剤や、抗凝固剤の服用もあることから、血府逐瘀丸の使用も迷っております。
よろしくお願いいたします。

IMGP5894 posted by (C)ボクチンの母
お返事メール:
> 一番最初は、ゴルフをした後に、アルコールをたくさん飲んで出始めたようです。
ということはおそらく冷たいビールを飲んで肝胃虚寒を誘発したものと考えられます。
> 舌の状態は、私の所見では、淡紅色で白苔、苔自体に小さいひび割れがあります。
における淡紅色で白苔は肝胃虚寒を裏付けるものと思われます。
ただ、苔自体の小さいひび割れは、舌質そのものに裂紋が波及していることが考えられ、年齢的な老化による肝腎陰虚が潜在している可能性がありますが、シャックリには直結しない部分だと思われます。
以上のことから、やはり呉茱萸湯エキスを少量から試してみるとよいと思います。
下肢の浮腫と熱象は、上述の肝腎毀損による陰虚火旺の知柏地黄丸などの証が合併している可能性がありますが、シャックリだけをまず軽減するには、冷たいビールを飲んだ後に発生したことが明らかであれば、まずは呉茱萸湯エキスの少量から試してみるのが順当だろうと思います。
但し、肝胃虚寒が明らかではなく、中焦に明らかな熱証が認められる場合は、呉茱萸湯は禁忌となりますが、
舌の色が淡紅色であり、その赤みが少なければ少ないほど中焦の虚寒が存在する可能性が高くなります。
とりわけ中焦の寒熱をしっかり確認してみられる必要があると思います。
なお、しゃっくりや呉茱萸湯関連の参考文献としては
取り急ぎ、お返事まで。

IMGP5830 posted by (C)ボクチンの母
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