その発見というのは既にタイトルに記したように、筆まめな人であればという大前提の上での話ではあるが、却って近隣や近県の人達と同等に、時にはそれ以上に能率よいピンと合わせが可能となっている事実を発見して驚いている。
但し、本日のように超遠方ながら三十数日目にして主訴の8割が減じたと電話で報告があり、補充注文があるほど二泊三日で来られた当初に既にピントが一発であってしまった場合は、遠方も近隣も無関係な話で、タイトルに該当する話は、直ぐにすべてのピントが合うとは限らない3割くらいの人達のお話である。
近くでアレ遠方であれ、シッカリあるいはある程度のピントが合うまでは、10日毎に連絡を密にして微調整と確認を互いに根気よくメールや電話で連絡し合う訳だが、中には毎日のように様子の変化や精神面の苦渋そのほか、様々な詳細な報告をされる筆まめさんでは、初期にピンと合わせが難航していても、意外に数ヶ月もするとシッカリピントが合ってくるもので、遠方であるという緊張感から、却って真剣に互いに切磋琢磨することで、好結果が得られていることが多い事実を発見して驚いているのだった。
毎日の報告はやや極端にしても、折々に症状の変化や疑問点などに対する往復メールを交わすうちに、下関の二泊三日では見えなかった部分が判明したり新たな発見があったりで10日毎の微調整を繰り返すうちに、次第に基本の組み合わせが完成し、あとは服用し続ける根気と、時折の点検や微調整で済むように進歩する。そのうち、あれだけ頻繁だった往復メールも、体調が次第に調うにつれて減ってくる。それは自然な成り行きであろう。
ところで、これを書いている最中に地元の六度目の重度の耳鳴り患者さんが来られた。何年来の耳鳴りの原因が昔の交通事故の後遺症であったことを突き止めたのが四度目の来局の時であった。頑固な耳鳴りに伴っていた重度の肩こり・頭痛を目標にした僅か一種類の方剤の40日の服用にして、耳鳴り以外は9割がた消失し、これに伴って耳鳴りも明らかに半減しているのだった。
10日毎に通ったのにもかかわらず、最初は年齢的な腎虚と内風によるものとの判断は、意外にもことごとくピンとはずれで、交通事故の後遺症が何年も治らずに整形に通院中で、耳鳴りの耳鼻咽喉科で出される医薬品も二年以上服用するも何の効果もないという事実をヒントに、しっかりピントの合う一方剤が決まったのが四度目に来られたときだったのだ。
このようにたとえ地元近隣でも、一回目や二回目でしっかりピントが合う人ばかりではないので、数回以上、あるいは何度も通い詰めてようやくピントが合いだすことも多いのだから、
たとえ遠方でも二泊三日や一泊二日で直接来られ、2〜3日連続時間をかけて綿密な漢方相談を行ったあとだけに、運悪く直ぐにピントが合わずとも、その後の頻繁な往復メールによって結果的には、数ヶ月もすればしっかりピントが合って来ているケースがほとんどだよ・・・というわけなのだった。
何よりも、遠路はるばる泊りがけでやって来られる気合と緊張感が、却って互いに切磋琢磨の空気を生んで、そのことがお気楽やお気軽な連中とは明らかに異なり、「病気を治そう!」「治ってもらおう!」という互いの意気が合って来るのに違いない。
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