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当時、急性白血病の患者さんが骨髄移植しか治る方法がないとのことで、順番待ちする間が、赤血球、白血球、血小板などが極端に減少し、順番が来るまでに感染症を起こす確率が高いので、何とか骨髄移植の順番が来るまで漢方薬類でサポートして欲しいという依頼であった。
四十歳前の、一見屈強そうな男性であったが顔面は蒼白、あらゆる血液成分が枯渇している様子が見て取れる。
できるだけご期待に添えるべく、牛黄製剤を主体に感染症予防に天津感冒片を中心として扶正祛邪の方剤類とともに板藍茶などいわゆる中草類を何種類か併用してもらった記憶がある。
こちらもヒヤヒヤの毎日であったが、幸いに移植の順番が来るまでの期間、まったく感染症を起こすことなく、むしろ体力を回復させて移植に向かわれた。
以前にもブログにも書いたかもしれないが、その後、何年たっても音信は不通である。
その後、完治されたのかどうか、骨髄移植まで身体が持たない恐怖にお互いに緊張した日々を乗り越えて実現したはずの骨髄移植。
今になってまた上記のことを思い出したのが、病気の程度と内容は大いに異なるものの、病名だけはよく似ている慢性リンパ性白血病の元気な女性が遠方から、地元の医師に紹介されてやって来られたからである。
セカンドオピニオンならぬサードオピニオンで当方を紹介されたらしい。
慢性リンパ性白血病は急性骨髄性白血病とは異なり、経過が長く時間的にも余裕があるので、中医漢方薬学によるサポートがとても向いているように思われる。
といっても慢性リンパ性白血病でも重症に近かった人では、来られた当初にはかなり強い易感染症状況にあり、容易に発熱して果物による細菌感染や角膜ヘルペスに見舞われる初期の一年間はめまぐるしく漢方薬の出入りも頻繁で大変であった。
西洋医学の主治医は血液検査の管理と、急な感染症に備えたバックアップ体制、それに白血球が5万前後に増えそうなときに、1〜2年に1〜2度、エンドキサンの内服を数日からせいぜい1週間。
エンドキサンを内服すると確かに2万代に落ちるが、急激に体力を失い正常な白血球も激減させているので、セカンドオピニオンの医師に言わせれば、私なら10万超えてもエンドキサンは使わないと言われたという。
それもいつしか様々な漢方薬類を続けるうちにほぼ完全に近い寛解状態が5年以上続いている。
西洋医学治療の介入は上記の通り一時的なエンドキサンの使用以外はほとんどないまま、ここ5年以上はエンドキサンの使用も皆無。
既に最初のご縁からは15年以上経つ現在では白血球数も、いつのまにか2万前後で一万代が増えつつある状態で安定している。年を重ねる毎に、次第に白血球数は僅かずつ減って一万代になることが多い昨今である。
検査数値以上に顕著な違いは、同年代の健常者よりも遥かに体力、気力も充実され、滅多なことで風邪も引かないし、その他の感染症に見舞われることもいまだに皆無が続いている。
同じ血液癌でも悪性リンパ腫の相談は多いが、慢性リンパ性白血病は日本人ではそれほど多い疾患ではない。
愚息が医学生〜研修医の期間、血液腫瘍内科を専門としていたので、それに対抗して西洋医学知識を多少とも身につけたのはいかにも役に立つようだが、実際には中医漢方薬学上の弁証論治には多少のヒント程度にしかならない。
やはり中医学理論のみならず、中薬学、中草薬学知識こそ必須というのは言うまでもないことだった。
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