IMGP3367 posted by (C)ボクチンの母
ヒゲジジイのたっての要望により飲みやすい補気建中湯エキス製剤をコタロー(小太郎漢方製薬)さんが実現してくれ、発売されて既に数年近くが経った。
そこでしばしば質問を受けるのが上記のような朝鮮人参の配合意義である。専門的な中医学用語を使わずにイメージ的にできるだけわかりやすい説明をこころみてみた。
以下がその説明(苦笑。
朝鮮人参単独で服用すると、体質によっては浮腫を生じる人が意外に多い。人参には体内に水分を保持させる作用があるからにほかならない。
日本漢方でいう水毒体質者にその傾向が強いように思われる。
このような「水毒」体質であっても、茯苓や白朮あるいは蒼朮・沢瀉など、弁証論治にもとずいた適切な配合を加えれば、人参の衰え切った内臓機能を賦活する作用という利点を発揮させて、単独で使用するときのような弊害は出にくい。
とりわけ補気建中湯という各種の悪性腫瘍末期の腹水を軽減する可能性を持つ方剤の適応時期は、内臓の機能低下の極限に近いことからくる腹水であるから、朝鮮人参の内臓賦活作用が必須という状況である。
茯苓や白朮あるいは蒼朮・沢瀉などの配合のお陰で、朝鮮人参の水分保持作用は大事な細胞内の水分保持のためだけに働き、溜まっては困る腹水の成分の一部は本来あるべき細胞内に再吸収させ、廃液部分は体外へ排出する作用を発揮する。
人参 白朮 茯苓 陳皮 蒼朮 黄芩 厚朴 沢瀉 麦門冬
という配合内容の補気建中湯。
この処方に様々なキノコ類を併用してもらって、過去、たとえ一時的にでもずいぶんの窮地から脱してもらえたことが多い。
しかしながら、昨今ではこのような重大な疾患でなくとも、浮腫傾向のある胃弱者の体質改善に使って喜ばれることが増えている。
関連ブログ:2010年03月05日 悪性リンパ腫の全身転移から腹水のみならず胸水まで溜まって
IMGP3354 posted by (C)ボクチンの母
【関連する記事】
- 五苓散は超重要方剤ではあるが(付:腹水に対する利用法)
- 腹膜播種による腹水のご相談
- 腹膜播種の漢方サポート
- コタローさんの英断のお陰で、補気建中湯と分消湯が大活躍
- 転移癌の漢方サポートには、扶正祛邪の配合原則が必須
- クロちゃんのヒーリング・パワー
- C型肝炎が進行して肝硬変による腹水に対する対症療法の依頼
- 補気建中湯がワンちゃんの末期がんの腹水を軽減できたが・・・
- 漢方薬局の紹介依頼(末期がんの腹水)
- 優れた効果を発揮する新製品の分消湯エキス製剤
- 腹水に応用される代表的な方剤は補気建中湯および分消湯だが・・・
- 漢方薬(補気建中湯など)と病院の薬を併用して危険性はないのでしょうか?
- 薬が飲めない状態の腹水の貼りぐすり
- 転移癌による腹水等
- 腹水の漢方薬の御質問
- 気骨のある女性薬剤師さんから補気建中湯に期待を寄せて下さる旨のおたより
- 末期癌における腹水の問題(補気建中湯)
- 悪性リンパ腫による腹水
- 大腸癌再発による腹膜播種で腹水の漢方薬