2012年05月05日

日本漢方の後進性の証明は医療用ツムラ漢方の補中益気湯や六君子湯中の白朮を蒼朮で代用する錯誤もその一つ

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ASC_2969 posted by (C)ヒゲジジイ

 日本漢方の統一的な教科書すら存在しないこと事態が、理論面でいかに杜撰であるかは、いまさら論ずる必要もないが、漢方製剤における配合薬の選定において、これほど杜撰であればローカルな民間療法レベルに堕すると暴論を受けてもやむを得ないことだろう。

 日本を代表する医療用漢方メーカーとあろうものが、ツムラの補中益気湯やツムラの六君子湯など補益系統の方剤中の白朮を蒼朮で代用する愚考を犯している現実。
 ツムラの五苓散も然りであるが、補中益気湯や六君子湯の蒼朮に至っては、五苓散中の蒼朮レベルとは遥かに問題が大き過ぎる。

 白朮を蒼朮で代用された方剤、その数なんと三十数処方に及ぶ。
 白朮と蒼朮は類似点は多いが中薬学上の薬効は明かに違いがある。
 脾虚脾湿に適応する白朮と、湿邪の実証に適応する蒼朮である。燥湿健脾を特長とする白朮と、袪風除湿を特長とする蒼朮である。

 白朮と蒼朮の最大の違いは、白朮は固表止汗して黄耆(オウギ)がないときの代用品になるくらいだが、蒼朮は逆に散寒解表して発汗作用があるので決して黄耆の代用とはなり得ない。
     ━白朮を蒼朮で代用する日本漢方の杜撰
 これではたして補中益気湯や六君子湯の本来の効能をフルに発揮できるといえようかっ!?

 白朮や蒼朮錯誤の問題だけではない。

 乾姜と生姜の問題も信じられない馬鹿げた問題である。詳細は日本漢方における生姜と乾姜の錯誤に譲るが、これら以外にもレベルの低さを露呈する数々の問題がある。

 ついでに言えば、昨今NHKテレビが医療用漢方の宣伝を繰り返し行わなければならないほど、現実にはジリ貧状態の日本漢方ではないのか?と疑いたくもなる。
 たとえば手術後の大建中湯、認知症に抑肝散など、ますます水は低きに流れるばかり。
 陰虚証体質や実熱証の人達が主治医に、これらの方剤を投与された結果、皮膚掻痒症が重症化した事例が後を絶たない。

参考文献:
 ※補中益気湯に白朮ではなく蒼朮を配合した医療用漢方製剤は明らかに錯誤
 ※だから言わんこっちゃない!24年前に提唱した中医学と日本漢方を合体させる「中医漢方薬学」論を忌避し続けたツケが今になって回って来ただろうがっ!

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