2012年03月15日

柴胡加竜骨牡蛎湯などの漢方薬は煎じ薬がよいとは限らない実例報告など

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IMGP0552 posted by (C)ボクチンの母

おたより:東海地方の美人女性薬剤師

 ここのところ、一気に春めく日と、寒の戻りが強い日があり、毎日体は揺さぶられていますね。
 特に伏痰がある方にはとても辛い季節のようです。
 暖かい日には、氷が溶けるように、カチカチにこわばった体の氷も溶けて動いてくるイメージでしょうか?

 ところが、この溶け出した体の氷が厄介で、春先特有の、たとえようのない体のだるさ、頭重感、眩暈、浮遊感、耳鳴り、吐き気等を作っているように思えます。

 腠理が開閉して汗になってでてしまえば、スッキリするのでしょうが、腠理が閉じているために出口を失い、そうしたところに夕方〜夜にかけての冷えがやってくると、中途半端はところで再び固まり始め、気血の流れを塞ぐ症状がとても目立っています。

 したがって、三焦の通りをよくする処方や、肺脾腎を強化して解表や排泄を助ける処方が主流になっています。

 春先に多い黄砂や花粉症によるアレルギー症状もこれに関連しているように思えます。

 鼻水や目の痒み等の典型的なアレルギー症状がなくても、体がだるく重く、頭がスッキリせずに、何となく微熱っぽいものも、おそらくは免疫反応のしわざによる伏痰が原因しているのではないか?と考えています。

 このような症状に悩まれている方があちこちの医療機関を転々としているわけなのですが、”体がしんどいのなら、体力をつける薬を出しておきましょう”・・・と補中益気湯などが処方されていたのですが、スッキリと効くわけはありません。

 ひどい方になると、先生が先日のブログに書いておられたように、煎じ薬でないと納得できない・・・みたいな方があって、柴胡加竜骨牡蛎湯を煎じ薬でもらっておられたようなのですが、全く効かない・・・と言われる。

 確かにその方には柴胡加竜骨牡蛎湯は適当であるように思えたので、”どのように煎じてみえますか?”

 とお聞きしたところ、パックに入れて一括で煎じるタイプのもので、なるほどこれでは竜骨や牡蛎の重たいお薬の効果が十分に反映されないことが予測された。

 そこで、当方の柴胡加竜骨牡蛎湯エキス剤を用いたところ、たちどころに効果が現れ、”こういうこともあるのですね!”と言われ、憮然とした始末・・・。

 エキス剤を侮ることなかれ!

 ましてや、さじ加減はエキス剤でないと不可能です。

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IMGP0630 posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:

 いつもとても有意義な内容でブログへご協力頂き、ありがとうございます。

 ところで、最近ず〜と、先生から頂くメールのアドレスがひどい文字化けで到着します。
 さいわい、本文には文字化けがないので安心ですが、とても不思議です。
 もしかして宇宙からの使者だったりして?!

 ところで「体がしんどいのなら、体力をつける薬を出しておきましょう」と出されるのが補中益気湯という各医療機関のワンパターンには恐れ入ります。どの病院も共通しているようです。

 本来、白朮を配合すべき補中益気湯に湿盛の実証に用いる蒼朮で代用された補中益気湯エキス製剤を投与する病院が多発しているのですから、呆れ果てるばかりです。

 湿盛の実証に用いるべき蒼朮、脾弱の虚証に用いるべき白朮。

 散寒解表する蒼朮、固表止汗する白朮。

 要約して書いてもこれだけの違いがある、蒼朮と白朮。よくもま〜補中益気湯という文字通りの補剤に白朮を配合せずに蒼朮で代用する非常識が信じられませんよ。

 袪風除湿の蒼朮、燥湿健脾の白朮。

 書けば際限がありませんね。

 煎じ薬が絶対に効き目が上だと信じ込む素人さんのみならず、そのような専門家が多いのも困ったものですが、それにしても柴胡加竜骨牡蛎湯の件はひどいものですねっ!

 当方ではしばしば遭遇するのはエキス剤での効果の違い。

 昨今しばしば遭遇するのは加味逍遥散エキス製剤を投与されていた人が、これも白朮を配合すべきものが蒼朮で代用されたものなので、正しく白朮の配合されたものに切り替えてもらうと、まともに効果を発揮する例。

 それにしても加味逍遥散レベルで、蒼朮と白朮が違ったくらいで、ここまで効果が異なるのもやや不思議な感もするのですが・・・。

 さらに書けば、飴色に蒸した煨姜(ワイキョウ)もどきの乾姜が配合された半夏瀉心湯エキスで効果がはっきりしない人には、正しく乾燥生姜が配合された半夏瀉心湯に切り替えてもらうと、やはり効果は歴然と異なる。

 猪苓湯にしても・・・書けば際限がなく続いてしまうので、これくらいでやめておきます(苦笑。

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