2012年03月11日

漢方製剤は同一処方でも各社それぞれに特徴がある

KSC_3609
KSC_3609 posted by (C)ボクチンの母

 各社それぞれの漢方製剤のその多くを占めるエキス製剤には個別的な特徴がある。

 「特徴」とは言っても「特長」と発音が同じでも当然意味するところは異なっている。

 つまり特徴というからには、長所ばかりの特徴ではなく、短所という特徴もあるということです。

 たとえば際立った「短所の特徴」として、ヒゲジジイが最も忌み嫌うエキス製剤の中に、本来は白朮を使用すべき方剤を、蒼朮で代用される製剤こそ、際立った短所としての特徴であり、つまりは大きな欠点である。

 見かけによらず繊細でデリケートなヒゲジジイが経営する村田漢方堂薬局では、長年の経験から各処方毎に愛用する製造メーカーが大きく異なっている。

 たとえば葛根湯では、葛根・麻黄・甘草の配合比率が4:2:1の製剤を最も重宝しており、猪苓湯は製造時に最後に溶解させる阿膠がしっかり配合されたものは敬遠する。(阿膠がしっかり配合されると利水作用が大きく阻害されるからである。)

 乾姜は、正しく乾燥生姜を使用している製剤を第一選択肢とし、わざわざ飴色になるまで蒸した煨姜(ワイキョウ)もどきの製剤は敬遠する。(飴色になるまで蒸して製したものでは、本来、乾燥生姜に備わる健胃作用が大きく損なわれるからである)。

 補中益気湯や六君子湯などのように白朮が配合されるべきものが、蒼朮で代用されている錯誤した製剤は敬遠することは既に延べた通り。

 それ以外にも、それぞれ各社の処方毎に特徴があるので、しっかり選別して優れた製剤だけを提供できる態勢で長年この仕事を続けてきた。

 世間で思われる以上に、各種エキス製剤には配合される生薬の問題や配合比率の問題、および製造方法によって、同じ名前の漢方製剤であっても、優劣が大きく異なることは既にこのブログや他のブログでも繰り返し述べて来た通りである。

 各社の漢方製剤を吟味した結果、村田漢方堂薬局で常備する漢方製剤は、各方剤毎に製造元が異なる。

 そこまで徹底した理由は他でもない、弁証論治にもとづいて得た結論からも、必ずや方証相対するはずの漢方(エキス)製剤を飲んでもらって、もしも期待したほどの効果が出ないということがあっては絶対に困るからである。

DSC_0515
DSC_0515 posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 15:00| 山口 ☀| 中医漢方薬学 | 更新情報をチェックする