2006年10月18日

漢方薬で本当に治るなら伺いたいのだが・・・という本音のお問合せ

 御尤もな御質問であるが、当方にだって分からない。人間様は自動車の修理とは違って、簡単に部品交換が出来るわけじゃなし、しかも病院でも治らない病気が、漢方薬でそれ相応の効果を発揮させるには高度な知識とテクニックが必要なことは言うまでもないはずだ。
 そのことがサッパリ理解されずに、中には過去に試したものが単なる健康食品に過ぎないのに、漢方薬を一度試してみたが、病気が治るどころか、却って進行してしまったと広言し、健康食品と漢方薬を完全に誤解している人が意外にとても多い。
 先日も書いたように、大手検索エンジンさんですら「健康食品>漢方薬」というまったくもって錯誤した分類をされるのだから、世間の常識レベルが知れようというものである。

 本題に戻って、漢方薬で治るものなら〜〜?という御質問だが、漢方相談を専門にする当方にだって、8割緩解なら知識と腕さえ伴えば、9割の確率で可能であろうが・・・・・と内心思っても、一定期間、そちらの方から賭けてみるつもりでやってもらえないことには自信を持ってお返事できないのが本音である。だから、本音以上にわざと「自信ありません」とお答えして、やや突き放してしまうことがあるのは、迷っている人にまでどうこう説得するつもりもないし、完全に時間の浪費だと思うからである。

 たとえば、アトピー性皮膚炎などは、ここ十年来、新たな発見から例の三点セットを主軸にして弁証論治の方剤を適宜加える方法で、有効率100パーセント近い確率を続行中であるが、この不敗神話がいつ崩されるか戦々恐々の毎日であることも既に述べた。
 ところで、一例だが実に歯がゆい例外があり、子供さんのアトピーで何ヶ月経っても不思議に効果が弱すぎるので、あれこれ思案していると、親御さんのふと漏らした言葉に愕然として、即刻中止してもらったことがある。
 これまで長期の通院治療で治らないから、漢方薬を求めて来られたはずのものが、保険漢方で出されていた白虎加人参湯エキスを、当方には内緒で連用し続けていたのだった。
 
 無効だった漢方処方をいくら保険で安いからといって、このために当方から出しているデリケートな配合バランスを滅茶苦茶に破壊していることは明白である。
 どう贔屓目に見ても、白虎加人参湯証とは無縁な体質であり、却って逆効果の湿熱体質を保持しているのに、ったくぶち壊し以外の何ものでもない。
 即刻、白虎加人参湯を中止するように怒鳴るように勧告しても、これまた頑として聞き入れない。
 それじゃ〜〜、当方の漢方薬類は一切止めて、もとの保険漢方に戻ってもらうことにして、一切手を引いたという救いようのない前例が一例だけ存在するのである。
 それ以来、子供さんのアトピーはよほどの例外(親御さんが当方の漢方服用経験者)以外は、絶対に相談に乗らないことに決心したほどであった。

 このように、今のところかなり自信のあるアトピー性皮膚炎であっても、いつ不敗神話が崩れるか知れやしないし、こちらの計画とは裏腹に、思いもよらない逆効果の治療方法を隠れて行っていないとも限らない。

 実に人間様というのは、(もちろん自分自身も含めて)本当に扱いにくい動物なんですよ〜〜。
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posted by ヒゲジジイ at 14:05| 山口 🌁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする