2006年10月13日

予約制ですか? いえ、違います。ですから、時間はたっぷり余裕をもって来てください、ということなんですよ。

 いつも書いているように、時計を見ながら「今日は時間がない」という方は、すべてお断りしている。気心の知れている常連さんが同じことを言って来た場合は、全然話は別である。
 差別と思ったらそれは大間違い。常連さんの場合は、多くは常用されている漢方薬類の補充である。新たな相談があるばあいは、時間に余裕をもって来られるし、電話で済む相談なら常連さんだけに電話で解決できることも多い。
 
 新しい方の場合は、そうはゆかない。お互いに初対面だけに、たっぷりと時間に余裕をもって来局していただかないことには、まともな漢方相談にならない。
 本日も、予約制ですかという御質問のお電話があったが、ヒゲジジの性格上、予約制はとっていませんとお答えした。
 それでなくても、及び腰や時間のない人、病院に行くのが面倒だから漢方でも・・・というお考えで来られた人は、すべてお断りしている薬局である。

 病院治療でもう一つ治りが悪い人、あるいは治らない人、医療用漢方(保険漢方)で効果がない人、中医漢方薬学派のヒゲジジイの漢方薬に賭けてみたいという奇特なお考えの人、そうでなければ漢方相談の意味がない。
 やや悪趣味?かもしれないけれど、どこへ行っても治らないから中医漢方薬学派の漢方に賭けてみる、あるいはお互いに苦労するのは覚悟で、8割緩解が得られるものならしばらく徹底的に頑張ってみたいと思われる奇特な方だけを受け入れている、とてもワガママな漢方薬局である。

 お気楽な御相談は嫌いだし、お気軽なお問合せには冷淡である。そのかわりに本気で来局される人には、ない知恵を振り絞って頑張る習性だけは徹底しているかもしれない。だから、閉局後は、歳を取ったせいか、昨今、へとへとに疲れる。高級な牛黄製剤を服用して老体に鞭打って頑張っている。だから、及び腰や怪訝な態度で来られると、いっぺんでやる気を失ってしまう。
 体調も頭の冴えも、時々刻々変化する、まるで大芸術家のようだ?
 それに実質が伴えばよいが、常に新患の10人中1人位の割合で、なかなかピントが合わずに四苦八苦して、悶々の日々を三十数年間続けて来た。
 だから、必ず月に一回くらいは逃亡したくなる。

 ところが、本日のようにもう一歩打開策が見えないように思えていた遠来の人が、少し良い兆しが見えてきたというメールが入ると、いっぺんで気分が明るくなる。
 逆に先日のように、別の遠来の方が、少し前まで良い兆しが見えていたので、これで方針は固まったと自信満々だったところで、突然、新たな症状が加わっている連絡が入ると、一日中考え込んで殆ど夜も眠れない。

 かと思えば、ヒゲジジイ自身も牛黄製剤ばかりに頼らず本格的な漢方薬の体質改善の目的で最近はじめたばかりの六味丸系列の方剤を中心に5種類の漢方処方類併用のピントが合ってバカスカ服用したお陰か、不眠症気味だった夜が12時になると睡魔が襲って、ここ2〜3日ぐっすり眠れるようになった。
 おまけに「食事」がとてもおいしくなった。食欲が更新したのではない。食事がおいしくなったのである。

 六味丸系列の方剤がよく合っている人は、これまでもしばしば「食事がおいしくなった」と述懐されたものだが、自分自身がそれを味わって驚いている。六味丸は断じて胃薬ではないのに!

 その六味丸を現在主方剤として連用されている数ヶ月のかたが、ここ2日間、このブログの更新がないので、とても心配されていたとて、本日来局されて、ヒゲジジイが元気な姿を見て安心されたとオッシャルのであった。
 心配して下さる人もあるのかと単細胞みたいに嬉しくなった。いや、本当はやっぱり単細胞なのだろう。
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posted by ヒゲジジイ at 19:28| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする