KSC_1752 posted by (C)ヒゲジジイ
【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾
【 年 代 】:20〜29歳の男性
【 地 域 】:近畿
【 具体的なご職業 】:飲食店 調理
【 お問い合せ内容 】:
お久しぶりです。覚えておられないかもしれませんが、一年半程前(編集者注:実際は3年近く前)に飛蚊症の件で店頭に直接お訪ねしご相談させていただいた●●という者です。
その節はお世話になりました。
その時は肝腎陰虚に湿熱ということで杞菊地黄丸と茵蔯蒿湯を軸に釣藤散と田七人参も状況に応じて服用するというアドバイスをしていただき、飛蚊症は消えないまでも気にならない程度になり、体調もよかったので、問題なく生活しておりました。
そして話が変わるのですが、先月急に片耳がこもったような感じで聞こえにくくなり、二日後くらいに沈むような眩暈が始まりその後回るような眩暈と吐き気で立っていられなくなりました。
嘔吐もありました。次の日には落ち着いたのですがまた二日後同じような眩暈が起きたので病院に行き、メニエールと言われました。
それから三週間程たちましたが、回るようなめまいはありませんが頭を振ったり歩くとふわっとしずむようなふらつきが続いています。
あまり動かしすぎると吐き気がし耳のこもったような違和感もたまにあります。病院では基本的に薬を飲んで様子をみましょうという事で利尿剤等を飲んでいますが症状は変わらずです。
命にかかわるような疾患ではないですが、不快感を相当感じており、またあの発作のようなめまいが定期的に起こるかもしれないと思うと不安です。
そこで村田様のサイトでめまいの症例を拝見させていただき、自分の体質的にも共通している部分があるのではと思い、質問させていただきました。
文面だけでは不十分なことは承知してますが、過去にみてもらっている事もあり、可能性として考えられる事だけでもお教え頂けないでしょうか。
また、飛蚊症の件が落ち着いてからは眼精疲労対策として杞菊地黄丸のみを自己判断で服用していたのですが、これがメニエール病の原因になる事はあるでしょうか?
もしそうであれば反省しております。
お時間のある時にでも返信頂ければ幸いです。よろしくお願いします。
KSC_1566 posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:
当時の相談カードを調べてみたら平成21年4月に初めて来られ、その後7月21日に杞菊地黄丸だけをお送りしてそのまま音信が途絶えていました。
その後もそちらで杞菊地黄丸を入手して服用されていたとしても、メニエールに対して杞菊地黄丸が災いしたということは絶対に有り得ません。
それどころか、メニエールに対しても最終的な体質改善時には杞菊地黄丸も必須となることが多いものです。
但し、メニエールの病因は風痰上擾など湿邪の存在が絡むことが多いので、痰湿の問題が主体となることが多いので、当時もこちらでお出しした釣藤散のみならず、半夏白朮天麻湯、(あるいは茵陳蒿湯も出していることから類推すると)温胆湯証があるかもしれないし、回転性目眩が強ければ沢瀉湯など。
しかしながら寒熱の問題が現時点でも当時と同じかどうかは不明なので、寒証に変化していれば真武湯証ということもあり得ることです。
いずれにしても総じてメニエールは中医学では比較的治しやすい疾患ですので、地元の漢方薬局でしっかり相談されることです。
通えるところで折々に顔を見せておかないと、こちらでは2年半のブランクがある貴方の体質を当時の相談カードを眺めても殆ど思い出すことすら不可能です(苦笑。
当時でも三ヶ月しかこちらで続かなかった人ですから、当然こちらに来られる必要はないので、必ず地元で互いに信頼関係が結べる漢方薬局を見つけるべきです。
幸いにメニエールは中医学やたとえ日本漢方でも服用者に根気さえあれば文字通り本当に「根治」が可能な疾患ですので、今度こそしっかり通えて長続きのするところで腰を据えてみて下さい。
なお、処方のヒントは上掲しましたが、例によって数種類の組み合わせが必要なことが多いので、素人療法は禁物です。
BSC_5815 posted by (C)ヒゲジジイ
折り返し頂いたメール
お忙しいところ、丁寧なご返信ありがとうごさいます。
近くの漢方薬局を見つけて、必ず完治させたいと思います。ありがとうごさいました。
【編集後記】
実際のところは肝腎陰虚に湿熱を伴っている場合に、こちらの指示通りに杞菊地黄丸だけでなく茵蔯蒿湯や風痰に配慮した釣藤散も併用していたら、そして折々に体質変化の点検を行っていれば、今頃になってメニエールを引き起こすことはなかっただろう。
遠来者の中には、フィットする配合が得られた時点で直ぐに無音となり、こちらに何の相談もないまま素人判断で配合を一部間引いてバランスの偏った節約した配合を続ける人があるようだが、それはちょっと考えものである。
遠来者の中にはこのように、フィットする配合が見つかった時点で、三ヶ月で音信不通となるケースが目立つが、その後はよそで漢方薬を調達されるため、こちらは心身ともに消耗する弁証論治に苦労した三ヶ月がまったく報われないのだが、それだけの問題ではない。
このように中焦や下焦の湿熱に配慮した茵蔯蒿湯や痰熱に配慮した釣藤散が欠けて、杞菊地黄丸だけを続行してややバランスを欠いた配合のために、メニエールを未然に防ぐことは出来なかった可能性は否定できない。
素人療法の問題点が集約されているように思われる。
蛇足ながら昨年だけでも、アトピー性皮膚炎の女性薬剤師や、血液疾患の男性など、その後の状況に応じた配合の微調整が必要になった時点で困るのは目に見えているのに、大丈夫なの?と危惧している。
いずれも効果が明らかとなった三ヶ月目で無音となっている。
類似した例でも関東から通われながら、折々に地元で漢方薬を調達したがるやや身勝手な人達がいて、これでは慈善事業に等しい仕事となるので、関東の内科医をご紹介したところ、やはりそこでも身勝手な行動が目立ち、却って大変なご迷惑をおかけすることになった(苦笑。
BSC_5582 posted by (C)ヒゲジジイ
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