2011年10月19日

ご高齢者で腎陽虚衰の兆候があれば附子配合剤の八味丸(八味地黄丸)が適応する場合も多いが・・・

ASC_9338
ASC_9338 posted by (C)ヒゲジジイ

【 ブログへ掲載の可否 】:転載応諾
【 性 別 】:女性
【 職 業 】:公務員
【 地 域 】:関東
【 お問い合せ内容 】: 八味地黄丸に関するプログを拝見し、高齢(92)の母が飲んでいてもいいものかという疑問がわき、お問い合わせさせていただきました。

 母は、慢性肺不全(結核の後遺症)で在宅酸素、テオドール、ムコダインなどを服用しています。
 八味地黄丸を服用した経緯は以下の通りです。

 昨年、高齢(現在92)の母が白内障で手術を勧められました。症状が進みすぎているが手術できないほどではないとの状況で、手術をお願いしたのですが、当日本人が拒否し中止(11月)となりました。

 その数ヶ月前から、漢方の処方をする眼科の先生にかかり、八味地黄丸と桂枝茯苓丸、高貴薬を飲み始めました。視力は昨年、矯正して0.2ぐらいでしたが現在は片目は0,1をきっていいます。

 体重が減少してきてはいたのですが、今年はじめは41kgから、ここ数ヶ月で急に33kgまで減ってしまいました。

 当初胃腸が大丈夫なら?ということで八味地黄丸を飲み始めたのですが、効きをよくするために桂枝茯苓丸が追加されました。高貴薬は便秘の解消?のためと聞いています。
 
 息苦しいとの訴えも時々ありますが、落ち着くと訴えなくなります。PCO2は95%〜90%(0.5lで)

(服薬の前から変化があるかどうかはよくわかりません。服薬後、多少元気になったような気さえしていたのですが、最近は元気がありません。)
 
 これらが服薬と関連があるのか不安になりましたので、お問い合わせさせていただきました。
 問題があるのでしょうか?

 また、八味地黄丸と桂枝茯苓丸という組み合わせはどうでしょうか。

 家族からの高齢者に関する問い合わせで申し訳ありません。

ASC_9339
ASC_9339 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:ご高齢者の場合、往々にして腎陽が虚衰(体内の熱エネルギー生産が衰退)している場合がありますので、明らかな冷え(腰が冷えて小便が近いなど)の兆候があり、腎陰も不足(肌が乾燥したり身体の一部に水分が欠乏するような状況)していれば、しばしば八味丸(八味地黄丸)が適応します。

(追記:但し、ご高齢者でもあきらかな肺熱や肺陰虚が合併している場合は附子配合剤の八味地黄丸の使用は極めて慎重を要する。不適の場合が多い。上半身が温まると咳が出やすくなったり胸を冷やしたり冷たい空気を吸うと楽になる人などは肺熱や肺陰虚がある可能性が高い。)

 ましてや、92歳というご高齢であれば、腎陽が虚衰している可能性が高いので、八味地黄丸が一般製剤(既製品)であれば、附子の量もそれほど過度でないので、上記の兆候があれば連用しても問題ないどころか、少しでも生命力を維持するのに役立つ可能性があります。

 それよりもむしろ桂枝茯苓丸のように活血化オの作用(オケツを除去する作用)に優れた方剤こそ、90歳を超えるようなご高齢者では体力を奪ってしまう可能性があります。

 体重減少は、年齢的な衰えの兆候で止むを得ないのかもしれませんが、そのような時に桂枝茯苓丸こそ、本当に使うべきかどうか?
 これこそ体重減少を促進してしまう可能性ナシとしません。八味丸よりも問題は桂枝茯苓丸かもしれません。

 また、高貴薬というのが?ですが、何が含まれているのか、開示してもらう必要があると思います。

 取り急ぎ、お返事まで。

ASC_9340
ASC_9340 posted by (C)ヒゲジジイ

【関連する記事】
posted by ヒゲジジイ at 06:49| 山口 ☀| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする