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巷の医師たちの補中益気湯乱用は目に余るものがある。
最近、タイトルのように陰虚火旺体質の慢性気道感染症の急性増悪期に補中益気湯を数ヶ月に亘って投与し続けた無知な医師たちがいた。
とうとう肺炎を生じるに至り、高齢でもあるからそろそろお迎えが来るものとご家族は覚悟を決めていたという。
ちょうどその頃、そのご家族の中の当方のお馴染みさんが、この件について相談にみえた。
聞けば、入院中のその患者さんは西洋医学治療とともに長年月、慢性気管支炎に対して体力を補うという目的から補中益気湯が投与されていた。
また、この度の急性増悪期にもそのまま補中益気湯が投与され続けているという。
もともとこのお馴染みさんは当方の漢方に馴染みがあり、正しく白朮の配合された補中益気湯製剤(党参配合)の愛用者でもあるから過去の指導により、補中益気湯のような温補剤の使用方法にかなり習熟されている。
それゆえ感染症における急性期や急性増悪期に、補中益気湯や十全大補湯のような温補剤は、多くの場合ご法度であるという知識があった。
しかも、そのご高齢の患者さんはもともと暑がり(陰虚火旺体質)である!
それゆえ、不審に思って相談にみえたので、陰虚火旺体質で慢性気道感染症の急性増悪期に補中益気湯を投与するのは明らかに間違いであり、ましてや高熱を発する肺炎に投与するとはもってのほかだとアドバイスしていた。
それ以来二ヶ月ぶりの本日、ご自身の漢方薬の補充がてら、事の顛末のご報告にみえた。
主治医に恐るおそる「馴染みの漢方の専門家に相談したら」云々と申告すると、意外に素直に応じてくれて、直ぐに補中益気湯を中止したところ、みるみる回復して、めでたく退院になったということだった。
あのまま補中益気湯を投与し続けていたら、どうなっていたかを想像するだに恐ろしいことである。
漢方にはまったくシロウトの医師たちが、患者さんがもともと陰虚火旺体質であることを知ることも無く・・・
というよりも陰虚火旺という概念すら知る由も無く、製薬会社の奨めに応じてなんでもかんでも体力増強とばかりに、陰虚火旺体質者にまで朝鮮人参入りの温性の補剤を投与し続け・・・
揚句の果ては慢性気道感染症の急性増悪期のみならず、命の危険がある肺炎の高熱時にまで補中益気湯や十全大補湯が乱用されるに至っては・・・
バッカジャナイノとしか言いようがないっ。
本来、たとえ医師や薬剤師であっても、漢方医学というよりも中医薬学の基礎知識がない人達が、安易に漢方薬を投与したり販売したりすべきではないのである。
だから医師の中にはほどほどの漢方知識があっても、漢方薬は専門家に任すべきといって、たとえ患者さんからの依頼があっても自身の診療では一切漢方薬の投与を行なわない人もいる。
時代の風潮に流されない立派な医師というべきかっ。
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