CSC_2315 posted by (C)ヒゲジジイ
漢方薬は合成医薬品とは異なり、原材料が天然自然の生薬だけに、しばしば効能に優劣が生じるのは止むを得ない現実があるように思われる。
但し、白朮であるべきところを蒼朮で代用するなどは、もってのほか、このような錯誤を犯した漢方薬は問題外。
エキス製剤においても品質の優劣に五月蝿いヒゲジジイや受付嬢だから、しばしば各社の新製剤の現実的な優劣の吟味を依頼されることが多い昨今。
先日も優れた新製剤の分消湯の製剤に遭遇して、従来品の他社製品とは雲泥の差の効能を発揮するのにおどろいたが、やはり従来品は蒼朮が省略されているために効果が激減することは想像にかたくなかったものである。
ところが新製品が優秀とばかりはいえず、自信満々で作られたはずのその製剤が、他社の従来品の方が遥かに有効性が顕著で、これでは新製剤は使えないな〜という現実にも遭遇している。
その効果の優劣は劇的な違いが出る場合があるから不気味である。
過去の例でも、猪苓湯製剤などは極めて多くの漢方製造メーカーから販売されているが、これほど優劣の差が激しい製剤も珍しいだろう。
といっても、当方には当方の目的意識をもった猪苓湯の効能を目的としているだけに、猪苓湯製剤の吟味方法と効能の発揮する方向性で独自の視点で選択しているので、やや独断と偏見が混じる部分もあるのは止むを得ない。
但し、数十年前に遭遇した顔面の皮膚病治療に、当方の販売する茵蔯五苓散合猪苓湯の各エキス製剤で著効を奏しながら、医療用の某社に切り替えた途端、三日で再発する現実に遭遇したときは、同じ処方名でも、効能には雲泥の差がでることに恐怖を覚えたものである(苦笑。
製剤を切り替えて直ぐに再発した人も、当方で販売する茵蔯五苓散合猪苓湯の各エキス製剤に戻した途端、三日でほとんど回復した事実は、何とも説明のつかない問題のようにも見えるが・・・
このケースにおいても、あとからよくよく考察すると、配合生薬中のまたもやっ!茵蔯五苓散中の白朮であるべきところが、医療用の方では蒼朮であったことの違いが最も顕著な問題点だったのかもしれない。
さらには当方で使用していた茵蔯五苓散には煎液のエキスだけでなく原末生薬も配合されていた製剤であった。
DSC_4032 posted by (C)ヒゲジジイ
ラベル:漢方薬の品質
【関連する記事】
- 托裏消毒飲のエキス製剤がないのは、日本の漢方レベルが低い証拠
- 各社それぞれエキス製剤の大きな問題点
- 12月に入って急に問い合わせの電話やメールが増えたが
- 錠剤や細粒剤の漢方薬の服用に使用する飲料水はコヒーや紅茶、お茶類では、問題がある..
- 漢方薬は、エキス剤よりも煎じ薬の方が効き目がよい、というのは都市伝説、というより..
- 相変わらず、病名漢方という邪道が蔓延する、日本の病院漢方や漢方薬局の現状
- 桂枝湯における肉桂配合のエキス製剤の問題
- 小曽戸丈夫先生は、排膿散及湯は 「はいのうさんおよびとう」 と読むべきだと強く主..
- 体質にフィットしてないのに、小建中湯を連用することで、実際にあり得る副作用
- 釣藤散エキス製剤の効果の優劣が、各社でかなり異なる理由は当然ながら
- 漢方薬の服用を食前や食間に限定するのは、まったくのナンセンス
- 猪苓湯でとってもスッキリしたとお礼の電話
- 寒熱の配慮がなされない医師の投与した漢方薬と調剤薬局のトンデモナイ指導
- なんと!学術論文でさえ虚偽捏造が横行しているのだから、ましてやネット上の記事こそ..
- 飲み慣れた漢方薬でも、うっかり『食前』に飲んだのが運の尽き
- 先週末の話題は、テレビ放映された『林先生の今でしょ!講座』の漢方漢の講義内容の好..
- 漢方薬は食前、食間というのはまったくの都市伝説!
- 煎じ薬の利点と欠点、エキス製剤の利点と欠点
- 誤解も甚だしい
- 前回の続き:猫ちゃんたちに漢方薬を利用される貴重なおたより