2006年06月17日

ご高齢者のアルツハイマーの御相談

お問い合わせ内容: 以前、老母のアルツハイマー型痴呆症初期の件でご相談させていただいたものです。
 貴薬局様では特別な病気で無い限り、高齢になってから、初めて漢方を
服用することが僅少とのこと、とても残念でしたが、アドバイスに従い、地元で漢方専門医を探し、当帰芍薬散とコウジンを処方されました。

 現在もアリセプトと併用しております。服薬後もさして変化はなく、あえて挙げるなら、深呼吸に似た深いため息の回数がほんの少しだけ減ったでしょうか。

 母は超ヤセ型で、発病以前から食欲不振と足の裏だけの火照り、耳鳴りという現象がもう10年以上(現在も)続いております。漢方専門医の先生は今回、さらにコウジン末を増量なさいました。

 私の必死のにわか勉強では、火照りがあるのだから、穏やかとはいえ、コウジンを増量するより、むしろ西洋参に変えたほうがよいのではないかと思ったりします。

 中医学の漢方専門医は、ここ東京でも、どうしても見つからず、この方も日本漢方の方です。

 ご多忙中、大変申し訳ないのですが、答えていただける範囲で結構ですので、アドバイスがいただければ幸いです。
 よろしくお願いいたします。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:おっしゃるとおり、同じ人参を使用するなら、足のほてりがあるくらいですから、肺腎陰虚による虚熱があることが、十分推測されます。

 そのような場合に、わざわざコウジンを強調して使用するのは、中医学的には間違いと言えます。
 さらに、当帰芍薬散も、肺腎陰虚には多少、まずいかもしれません。

 食欲不振があれば、脾胃の問題もあるのでしょうから、むしろ「加味温胆湯」のほうがより近いのかもしれません。
 少なくとも、ニンジン関係に関しては、書かれている通りだと思います。

 日本漢方では、中医学ほど寒熱は重視せず、「肺腎陰虚による虚熱」などという理詰めの概念が皆無です。
 なにせ、五臓六腑にたいする理論体系が構築されていないのですから、首を傾げることばかりです。

 以上、簡単ながらお返事まで。

頓首


折り返し頂いたメール:早急のアドバイス、感謝に耐えません。

> そのような場合に、わざわざコウジンを強調して使用するのは、中医学的には
> 間違い
> と言えます。

 母の病気以来、私も仕事を半分放り出し、連日、中医学関係の資料を読み漁る毎日です。

 以前は人参といえば、朝鮮人参しか知らず、薬性が「涼」の西洋人参が
あることも、ごく最近知りました。

> さらに、当帰芍薬散も、肺腎陰虚には多少、まずいかもしれません。
> 食欲不振があれば、脾胃の問題もあるのでしょうから、むしろ「加味温胆湯」
> のほう
> がより近いのかもしれません。

 加味温胆湯については、医師にお願いしてみることとします。

 保険がきくのはありがたい限りですが、母の状態、年齢からして、保険云々より、的確な処方をしてくれるところを優先し、再度、薬局・医師を探すつもりですが、特に、中医学をおさめた医師を捜し当てることができる可能性は限りなくゼロに近そうです。

 梅雨の時期に入り、老母は食欲が落ち、ますます疲労感が深まっているようで心配しています。

 治ることはない病気ですが、漢方薬で、少しでも進行スピードを緩め、快適に暮らせる時間を長くしてやりたくて、私は全力をつくしているつもりですが、素人判断で漢方薬を服用させるわけにはいかず、かといって今の先生の処方にも満足できず、困り果てていました。

 こちらでは、村田様のような、中医学のプロに、きちんとお尋ねできる機会がないので、本当に助かります。ありがとうございました。

 毎日HPを楽しみに拝見しております。わたしのような人が他にもきっとたくさんいることでしょう。
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posted by ヒゲジジイ at 17:49| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする