BSC_6700 posted by (C)ヒゲジジイ
おたより:関東の内科医師
東海地方の内科医の先生の大柴胡湯と生理痛の関連性に関してお話いたします。
自分の感覚では「生理痛は肝臓と生殖器の生理学的な距離感が原因では?」と感じています。
生理痛が柴胡剤で治ることは自分も経験しているのですが、これが「どの様なメカニズムによるものか?」ということを考える方も多いと思います。ちなみに自分も不思議な現象の一つと感じておりました。
「柴胡剤は肝臓部分の鬱血を取る薬草」と自分なりに考えております。加えて…生殖器の鬱血は左下腹部から右季肋部の肝臓への伝搬して行く様に感じております。ですから、生殖器の鬱血が長期に続くと生殖器の鬱血だけではなく次に肝臓の鬱血も加わると推測しています。
この様なメカニズムによって、生殖器が鬱血するときには「生殖器と肝臓との生理学的な距離」が短縮されると解釈されます。その時に肝臓の鬱血を取れば、肝臓と生殖器の生理学的な距離が正常近くに戻ることから生理痛が和らぐと推測されます。
「痛みは気の停滞によって起きうる」と亡き鍼灸師の恩師が話していました。とすれば…肝臓と生殖器の距離が適当でないと気の停滞が生じ痛みを生じるのでは?と勝手に考えています。ですから、生殖器に直接関係しないような柴胡剤を使うことによっても生理痛を減少させることが出来ると結論づけられるのではないかと思います。
最後に…自分の医院ですか?(笑
スタッフに「電柱に広告を貼ってきてよぉ〜!」とか話しています!(汗
笑い声の絶えないスタッフに恵まれて幸せです。何であんなに笑えるんだぁ〜?
先生からご紹介頂いた患者さんの治療については、患者さんと共にエベレストに登るような感覚です(汗。「自分について来て下さるなら…エベレストであろうとも登るぞ!」とか思うのですが、本当に登れるのだろうか?(苦笑
では、またメール致します。
おやすみなさい。
関東の内科医師(笑
ASC_4117 posted by (C)ヒゲジジイ
お返事メール:ブログへのご協力ありがとうございます。
中医学的には肝鬱気滞による生理痛は普遍的なものですから、この場合、ご承知のように通常では逍遙散や加味逍遙散など、柴胡、芍薬とともに活血調経薬の当帰などが配合された方剤を使用することが多いのですが、調経活血薬の配合のない大柴胡湯で生理痛に効果を発揮したところが面白いところだと思います。
活血調経薬の存在しない大柴胡湯中の柴胡、芍薬、枳実による純粋な調気疏肝法によっても、十分に生理痛に効果を発揮したことは、ヒゲジジイも経験している四逆散による子宮内膜症の治癒例からも推察するに、純粋でしかもかなり単純な肝鬱気滞による生理痛や子宮内膜症のタイプもあり得る証左ともなることでしょう。
また、中医学的に言われる「不通則痛、通則不痛」という格言は、気、血、津液(水)に共通した概念ですので、あらゆる疼痛を伴う疾患には確かに基本事項だと思います。
さらに気は血や津液の流通にそのまま影響を与えていますので、さっこんのようにストレスの多い社会では気滞を伴う疾患が目立ちます。
このような中医学的な分析部分を、先生オリジナルのユニークな中西医結合的な方向で解釈され、とても興味深く拝読致しました。
本にまとめられる時には、中医学的な弁証論治も並行して記載されると、中医学派により理解されることと思います。
ともあれ、先生もいよいよ開業され、千客万来のご様子。
ご多忙中のところを、このお時間(01:13)にメールを頂けるとは、とても恐縮しております。
ありがとうございました。
蛇足ながら、私淑する陳潮祖先生の御高著「中医病機治法学」の序文中に、
※五臓の生理機能はいずれも気血津液の生化輸泄{生成・輸布・排泄}に関係があり、「通」{流通}という共通した働きを示している。とあります。
※五臓六腑は「流通しているべきもの」という命題こそは、病機と治法を分析する上での重要な指針となるものである。 ━http://cyos.exblog.jp/3394788/
【編集後記】 大柴胡湯や四逆散に配合される芍薬について。
日本で使用される芍薬は、中医学で使用されるものと異なっている。ところが、異なっていることで有利に働いているケースがしばしばである。
今から書くことは、中医学の専門家にしか理解してもらえないだろうが、日本漢方で使用される芍薬や日本で製造される各種漢方エキス製剤で使用される芍薬は、中医学で使用される芍薬とはことなっているということである。
詳細な説明を省いて、結論から言えば、日本の漢方製剤で使用される芍薬は、中医学の白芍でもなければ赤芍でもない。
日本で使用される芍薬は、白芍でもなければ赤芍でもないかわりに、効能としては白芍と赤芍の両者の効能を併せ持っている可能性が高い。
中医師が芍薬を配合するとき、白芍と赤芍が同時に配合されることが多いが、日本で使用される芍薬は両者の効能を併せ持つので、実に便利であると言いたいわけである。
そのお陰で日本で使用される芍薬の効能には、補血活血、柔肝止痛の効能があるので、生理痛に対する効果がより発揮しやすいものと思われる。
中医学においては「月経痛に対する方剤には必ず白芍を配合する」(『中薬臨床応用』広東衛生出版社⇒『漢薬の臨床応用』医歯薬出版)とされるが、実際には赤芍も併用するケースが多い。
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