2006年05月24日

保険漢方による竜胆瀉肝湯に桂枝茯苓丸各エキス剤にして一時好転しかけていたがまた悪化し始めたという女性に対するお返事

 5月20日の5月15日の続き:アトピー性皮膚炎の方からのお返事メールの続きである。

 昨日、この方からメールで上記の報告のように一事好転しかかっていたが再び悪化しているという落胆のメールを頂いていたので、すかさず下記のお返事をメールで送信したつもりが、借りている某Webメールが一時使用不能となってしまい、その文面の詳細も再確認することも出来ず、お相手のメールアドレスも現状では確認もできないために、送信手段を断たれている状態なので、急遽下記に当方からのお返事だけを転載する。(幸いにこういう事故にそなえて当方からのお返事内容をコピーしておいてよかった。)

追記:ようやくWebメールが使用可能になったので・・・・

先方様からのメール: 悪化しています

村田様

 先日、桂枝茯苓丸を飲んで調子が良くなったとご報告したばかりですが、今は悪化しています。
 皮膚が乾燥している感じはしていましたが、それが痛痒くなり、今は赤く細かいブツブツが出てきています。表面が熱い感じです。

 温清飲のときもこんな感じでした。ただ温清飲は表面が潤うようで、桂枝茯苓丸は乾いている感じです。

 やっぱり一筋縄ではいかないのです。

 村田様のお世話になることもあるかと思います。
 その節は宜しくお願いします。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

 桂枝茯苓丸で一時良かったのが逆に悪化しているのは、最も考えられる原因は、処方中の桂枝の温散の性質が災いしている可能性が高いと思います。
それゆえ、このような場合は、すかさず桂枝の含まない「腸ヨウ湯(ちょうようとう)」か、あるいは「大黄牡丹皮湯(←もしも便秘気味なら)」に切り替える臨機応変さが欲しいものです。

 弁証論治にもとづくアトピー性皮膚炎の治療は、とても厳密なものですから、やはり一週間から10日くらいで臨機応変にピントを合わせる努力をしないと、なかなかピントが合わない場合がありますよ。

 折々に主治医にご相談されて、根拠のある配合を試行錯誤を繰り返しながら頑張る以外に仕方がないでしょう。

 アトピー性皮膚炎はT型およびW型アレルギーが関与しているとの西洋医学的観点による中西医結合的な配慮も必要でしょう。

 成人のアトピーでこれまで当方で御相談を受けた事例のほとんどは各医療機関や漢方療法によってもこじれまくってしまった状態ですが、多くは比較的順調に改善されていくものの、最初の数ヶ月は効果が安定しないで、微調整に手間取ることもあるのです。

 県内や隣県の人の場合は、しっかりピントが合うまで10日毎に通い詰めてもらいますから、比較的早めに効果が安定して来るのです。

 アトピー性皮膚炎はアレルギー関与のとてもデリケートな疾患ですから、隣県などと違ってかなり遠方から来られる人の場合、その後は10日毎にメールや電話での細かな微調整、かなりな神経質さと同時に大胆さも必要で、お互いに繊細でかつ臨機応変の柔軟性も必要とします。

 できるだけそちらで頑張って見て下さい!

 現時点では正確なアドバイスは不可能ですが、上記のように桂枝茯苓丸を腸ヨウ湯に変えることや、インチンコウ湯を加えるなど、まだまだ工夫する余地があるようにも思えます。

頓首
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posted by ヒゲジジイ at 10:43| 山口 🌁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする