肺脾病としてのアトピー性皮膚炎
の内容通り、かなり本格的な中医学的な弁証論治を行う綿密さであったが、(実際には当時も汎用していた腎虚の方剤、六味丸系列の方剤を必要とする症例を敢えて省略している)、かなり正統派に近い方法論であったことには違いない。
ところが、昨今のアトピー性皮膚炎に対する「中医漢方薬学」療法は、中西医結合的な方法論に大変貌を遂げている。
要するに、村田漢方中西医結合論
というものを実践している典型例が、T型アレルギーに属するアトピー性皮膚炎や、気管支喘息などとなっている。
つまり、上記の10年前の純粋中医学的な弁証論治の時代から少し脱却し、さらに普遍性のある能率的な方法にチェンジしているものであるが、それもこれも有効率の点でほぼ百パーセント近い結果を残せるようになっているからという理由にほかならない。
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