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安定していたアトピーが、秋に向かう季節の変わり目で異変が生じることは希ではない。
案の定、現在、把握しているだけでも3名、いずれも大なり小なり六味丸系列の方剤と猪苓湯の配合比率の問題が関わっていたが、いずれも現時点ではやや再燃しかかった異変もほとんど下火になって一安心、もとの寛解状態にほとんど戻りつつある。
いずれのケースも乾燥が目立って来たので独自の判断で猪苓湯を半減したり、あるいは猪苓湯が切れてしまったのに補充購入に来られず、六味丸系列の方剤ばかりを濃厚にしたために却って異変がますまず増悪したケースばかりであった。
3名とも猪苓湯の存在意義を大いに体感されて、あらために配合比率の重要性を実感されている。
但し、一名は近年希に見るほど速効で重症のアトピーがほとんど寛解状態が半年も続いていたのに、猪苓湯が無くなっている上に従来こちらで調達されていた保湿剤を中止し、縁ある素人さんに断りきれずにエステや新たな保湿剤等を奨められて使用したところで、急激な再燃に驚いてやって来られた。
当然のことながら、逆効果になりかねない新たな素人療法をすべて中止してもらって従来の漢方薬の配合とこちらで購入されてた保湿剤に戻したところ、10日もしないうちにほとんど下火になって一安心の段階に落ち着いた。
たまたま三名とも、秋の乾燥期にもかかわらず、猪苓湯を減らしてはならない体質者だったが、例年、この季節になると猪苓湯を相対的に減量すべき人も多いはずである。
つまり、この空気が乾燥する季節に向かって、猪苓湯が勝ち過ぎると肌を余計に激しく乾燥させてしまう体質の人も多いのである。
実際に、まだ一ヶ月も通わない新人さんの中には、猪苓湯を半減させる微調整で乾燥が軽減している人もいる。
とはいえ、アトピー性皮膚炎の激しい痒みに、六味丸系列の方剤と猪苓湯ばかりが主薬というわけではないので、決して誤解のないようにっ!
いずれの人も、他に清熱解毒剤や清熱涼血剤などを併用している。
例外的に、もともと重症のアトピーでありながら、大黄牡丹皮湯だけ、あるいは消風散だけで急速に寛解中という人もいるにはいるが、やはりこれらの人達は、長年の漢方相談事例の中では、例外中の例外に属する部類である。
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