2010年10月21日
清熱補気湯を投与されながら続く舌痛および咳嗽の中医学的な原因分析
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年齢 : 40歳〜49歳の主婦
簡単なご住所 : 東北地方
お問合せ・ご連絡内容 : はじめまして。●●に住む◎◎と申します。
去年の12月から舌痛があり、耳鼻科や口くう外科、内科、消化器科で胃カメラ検査をしても異常なしと言われ、それでも辛いので6月から漢方薬を処方してもらい(病院)飲んでいました。
夏には夏バテで近くの薬局から生脈宝を奨められ飲んだり{病院まで片道2時間かかり、とても運転出来る体力がなかった為)病院からの処方は清熱補気湯を飲んでおりました。(生脈宝を飲んでいた時は中止してました)
舌痛になる1年半位ニンニク(レ○ピ○)商品も飲んでいました。舌痛になってからは飲んでいませんが、9月半ば頃から風邪を引いた訳でもないのに咳が出はじめ(最初は空咳)今も変わらず出るのです。空腹時や熱い物を食べたり飲んだりした時だけです。(今の咳は痰がでます)これはどうしたら良いのか分からず、漢方薬を出して下さってる先生に聞いても聞き流され、薬剤師さんにも『飲むのを中止して先生に聞いてみて』と言われ、何がなんだかわからず困ってしまいました。
どこかに熱がある為に肺に影響があるのかな?と思うのですが、誰に相談して良いのかわからず、直接行けないのにメールでお聞きするのは申し訳ないとは思いながらも、どんどん変わっていく自分の身体に、不安と焦りで村田先生にメールしてしまいました。
この咳は、今飲んでる漢方薬を止めたら出なくなるのでしょうか?お忙しい中本当に申し訳ありませんが、お返事頂けませんでしょうか?
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お返事メール:就寝前にメールの点検をして・・・と見るとご質問が入っており、ちょっと通読すれば直ぐにお返事しやすい内容だったので、直感的に判明した部分をお返事します。
舌痛を生じた原因はおそらくニンニク製剤を長期間服用したために生じたもので、おそらく肺陰と胃陰あるいは脾陰などを損傷されると同時に肺熱や胃熱などが生じた結果であろうと推測されます。
舌痛を治療するために投与された清熱補気湯の配合は人参・当帰・芍薬・麦門冬、朮・茯苓、升麻・五味子・玄参・甘草であり、その中には人参、当帰、朮、茯苓、五味子、とりわけ人参と当帰が肺熱や胃熱をさらに悪化させている可能性が高いと思われます。
生脈宝という製品名の内容は、は確か原方は生脈散だったと思いますが、これには人参・五味子・麦門冬の配合ですから、この人参や五味子が肺熱や胃熱などには悪影響しやすいものです。
少なくとも現在服用中の漢方薬は中止され、中医学に堪能な薬局を見つけられて、適切な方剤を処方してもらう必要があると思います。地元でも同様な症状で五十代の女性を漢方薬で半年以上かかって治したことがありますが、必要な配合方剤は、似ている症状でも微妙に異なるもので、かなり正確な弁証論治が必要です。
なお、配合生薬中に、たとえ当帰や五味子、あるいは朮や茯苓が配合されていても、適切な肺熱や胃熱、あるいは肺胃陰虚にしっかりフィットした配合がなされていれば、これらの生薬といえども反佐として、つまりゼンザイの甘味を引き立てるために入れる塩味のような役割をして、邪魔にはならないものです。
清熱補気湯レベルの配合では、肺熱や胃熱に対する配慮が皆無の方剤ゆえ、おそらくやや逆効果になっているものと思われます。
ところで刻々症状が変化しているようですが、臨機応変にその時点での的確な弁証論治が必要ですので、通える範囲内でしっかり相談に乗ってくれる漢方薬局を見つけるのが最善です。最初空咳だたのが、最近は痰が出るというのは肺陰虚は幾分か緩和されている証拠のようにも思えます。
いずれにせよ、中医学を熱心に勉強されている先生を早く見つけられることです。
適切な方剤までアドバイスは不可能ですので、悪しからずご了承下さい。
以上、取り急ぎお返事まで。
DSC_2477 posted by (C)ヒゲジジイ
折返し頂いたメール:●●の◎◎です。
こんなに遅い時間にもかかわらず、暖かいお返事をありがとうごさいました。
嬉しくて(安心して)お返事を読みながら涙が出てしまいました。
何が何だかわからなくなって、不安で一杯でしたので 本当に嬉しかったのです。
きっと私の住んでいる県にも 村田先生までとは無理でも、近い先生が居らっしゃる事を信じて捜してみます。
本当に本当に、ありがとうごさいました。
【編集後記】
参考文献:警告:無謀な温め療法
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posted by ヒゲジジイ at 16:27| 山口 ☁| 温め療法や温補薬による弊害
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