2010年07月11日

党参と人参

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DSC_3626a posted by (C)ヒゲジジイ

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 20歳〜29歳の男性
ご職業 : 学生
簡単なご住所 : 九州地方
お問い合わせ内容 :  こんにちは、以前鬱金と姜黄の違いを教えていただいたものです。そのせつはありがとうございました。

 台湾の本図解・中医薬概論 林宗輝著133pに補中益気湯の説明がのっていますが、そこでは人参ではなく党参になっていました。著者は台湾の大学中国医薬大学卒の中薬博士でとある大学で先生をなさっている方です。

 この本では詳細が書かれていないのでもう少し調べてみないとわかりませんが、先生の書かれているとおり、現在人参になっている方剤の多くは党参だったのかもしれません。お役に立つかわかりませんが、ご報告まで。

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DSC_3626aaa posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:決して珍しい話ではありません。むしろ常識的な話ですよ。
 現代中医学では特別な事情がない限りは、補中益気湯は人参を使用せずに党参を使用するのが常識です。

 台湾の中医学原書もかなり持っていますが、大陸の中国とその点は同様だったはずです。
 そのことは補中益気湯に限らず六君子湯や他のあらゆる方剤も同様で、日本で人参を使用するところは党参を使用するのが常識です。

 党参の詳細な調査を二十数年前、月刊「漢方の臨床」誌にヒゲジジイ自身がかなり詳細に報告した記事を書いています。

 桶は桶屋ですよ(笑。

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DSC_3630 posted by (C)ヒゲジジイ

おり返し頂いたメール:ブログの文面だとわからなかったのですが、釈迦に説法でございました。
失礼いたしました。

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DSC_3804 posted by (C)ヒゲジジイ

ヒゲジジイのお返事メール:党参と人参に関するブログなど、専門家に向けたブログが多いので、一般の人には隠れた意味は分かりにくいかもしれません。

 少なくとも当方のブログは専門家など業界人が訪問者の半数以上であることはほぼ間違いないようですので、専門家に向けた内容が半数以上になっているように思います。

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おり返し頂いたメール: 村田先生、返信ありがとうございます。いやはやお恥ずかしい限りです。
 自分の思いついたことをすぐ言ってしまう癖に自己嫌悪になっておりました。
 日中3万冊以上読破されている方がご存じないわけなかったですね。

 一つだけいいわけさせていただきますと、「〜ではないかと考えている。」と文末にあったので、まだご存じない情報かと思ってしまったのです。

 決して何十年も勉強に打ち込まれてきた、プロの方を侮っているわけではございません。時間を浪費させてしまい申し訳ありませんでした。

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DSC_3685 posted by (C)ヒゲジジイ

ヒゲジジイのお返事メール:どの場所のブログか分かりませんが、おそらく傷寒論時代の人参は、実は党参だったのではないか?

 という個所だと思いますが、中国でも台湾でも、もちろん日本でも、傷寒論時代の人参は朝鮮人参であったというのが定説です!

 しかしながら臨床の実際では党参のほうが安上がりで、しかも癖が少ないので実用向きであるなどの理由から、中国や台湾などでは原典に人参と記載があるものでも、あえて党参を使用しているのが実体です。

 ただ日本だけが、定説を信じてそのまま朝鮮人参を使用しているという実にもったいないことをしているわけです。

 ブログの主旨は、中国でも日本でも、台湾でも人参は朝鮮人参という定説を、実は利便性のために党参を使用する現実の習慣こそが、傷寒論時代の人参であったのではないか?という実証的な論説を行っている中国の書籍を発見して、それを専門家にむけて発信したものですので、やはり漢方や中医学の専門家でなければ、「〜ではないかと考えている。」とする意味は実感できないと思います。

初めて見る不思議な昆虫
初めて見る不思議な昆虫 posted by (C)ヒゲジジイ

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posted by ヒゲジジイ at 17:05| 山口 ☁| 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする