2010年06月17日

「陰火上衝」に見舞われた美人女性薬剤師さんからのおたより

メジロが偶然飛んでいたっ!
メジロが偶然飛んでいたっ! posted by (C)ヒゲジジイ

おたより:東海地方の美人女性薬剤師

ご無沙汰いたしております。
 いよいよ梅雨に入り、脾虚湿盛の自分にとっては最も気をつけねばならない季節になりました。

 自分は、先生がブログで書いておられるような立派な先生方のような仕事ぶりではないのに、昨年から今年にかけて、体にガタがきまして、”そろそろ無理はできない年代に入ったのだなぁ〜”と痛感いたしております。

 今日は私の恥かき話にお付き合いください。
 実は自分自身の症状にとんでもない誤治をして3ヶ月も苦しんでおりました。(苦笑)

 主訴は、浮遊感のある眩暈でした。
 2月後半から、眩暈発作に見舞われ、発作が起きると漢方相談していても机につかまらないと体を支えられない醜態ぶり・・・。

 発作時は、心悸、気短、冷汗を伴い、目が見にくい、人の声が遠くから聞こえる、思考力を失うという有様でした。
 発作は、起床時の他、食中食後、そして午後になり気温が上昇すると、頭ののぼせ感から始まり、実際に微熱、目赤、耳鳴りなどを伴う、舌は絳舌で歯痕あり、脈は浮数、洪大無力。
 そして全くお腹が空かず、中焦で阻滞している状況でした。

 すでに更年期にさしかかっていることや、木気の強い気候から、一連の症状を肝腎陰虚、肝陽上亢による上実下虚と捉え、杞菊地黄丸と紫河車を補肝腎、補肝血に使い、四逆散と釣藤散を加えて服用しましたが、症状の改善は見られず、腹部の閉塞感がさらにひどくなり眩暈も悪化!

 粘膩性の高い薬剤と疏肝剤で脾虚にますます拍車をかけてしまいました・・・・(涙)

 それでもまだ納得が行かず、上実下虚を降ろすつもりで、湧泉と照海に透熱灸をしたところ、気が下がりすぎぶっ倒れる始末・・・・。
 清陽が上がらないのに、気を引き下ろす逆の治療をしていたのですから、無理もありません。

 ここまできて、やっと開眼し、心脾両虚の治療に切り替えました。
 加味帰脾湯合補中益気湯合平胃散で、益気養血、健脾燥湿化濁、養心安神をはかったところ、わずか2日の服用で生き返り、発作は止まり元のレベルまで復帰いたしました。

 肝陽上亢に見えた一連の症状は、脾虚に乗じて内火が強まった陰火上衝で、陽気が上昇せず血脈に止まり内熱を生んだ気虚発熱だったようです。

 更年期の思いこみが誤治を呼びました・・・・。
 本当に未熟な自分・・・お恥ずかしいかぎりです。
 どうか、このような幼稚なレベルの私ですので、過大評価なさらないでくださいね♪

IMGP3069
IMGP3069 posted by (C)ボクチンの母

お返事メール:何をおっしゃいますっ!

>脾虚に乗じて内火が強まった陰火上衝で、陽気が上昇せず血脈に止まり内熱を生んだ気虚発熱だったようです。

 この分析ができる人は、中医学に堪能な先生方といえども、滅多におられるものではありませんよっ!

 第一「陰火」の概念が相当に高度で、「いまだに定説はない」といわれるほど、様々に解釈がなされています。(もしも定説ができているようでしたら、ヒゲジジイが時代遅れになったのだと脱帽します。)

 李東垣先生が「内外傷弁惑論」の中でもっと皆に分かりやすく詳細に説明してくれていたら良かったのですが・・・苦笑。

 先日もブログにご協力頂いた関東の内科医の先生こそ、将来きっと「陰火」の概念を皆が共通認識できるように分かりやすく説明して下さるものと期待してます。(ヒゲジジイが生きている間にお願いしますよっ!)


編集後記:
 それならヒゲジジイはこの難題の「陰火」をどう解釈しているか?といえば、虚によって鬱を生じ、鬱結化熱して生じた「実熱」であろうと解釈している。
 「実熱」ではあるが、あくまで気虚によって生じた鬱が原因であるから補中益気湯などの適切な補気薬が必須であることになる。

 昨今は「陰火」の実体をこのように単純化して割り切ることにしている(苦笑。

 東海地方の美人薬剤師さん、もっと別の分かりやすい解釈があれば是非、ご教示下さいっ!

蜂の巣
蜂の巣 posted by (C)ヒゲジジイ

posted by ヒゲジジイ at 19:14| 山口 ☁| 中医漢方薬学問答 | 更新情報をチェックする