病名は炎症性腸疾患の腸管型ベーチェット病です。漢方関係のサイトを見ていて、偶然、村田先生のホームページを発見しました。
私も先生の考え方で、基本治療・検査を病院で行うというところに賛同します。
私の場合も発病後5年近くなりますが、症状はなかなか改善しません。
難病で治療法がないのはわかっていますが、何かにすがりたい気持ちは強く、プラセンタや健康食品などさまざまな民間療法もやってきました。
何度も入退院をくりかえし、食事をとると腸の潰瘍がひどくなる状態です。
基本治療は○○○○○○病院で行っていますが、現状は成分栄養剤による栄養摂取でかろうじて腹痛などの症状を落ち着かせている状態です。
私の場合、腸の回盲部に潰瘍を繰り返し、それに伴う腹痛が主症状です。
漢方薬等で緩解期を維持できないでしょうか。
人それぞれの体質などで回答は難しいでしょうが、私のような炎症性腸疾患の患者さんで漢方薬により緩解期を維持している方がいれば教えていただきたいです。
個人的な目標としては、今の○○大学での栄養療法を行いながら、漢方薬を併用して緩解期を維持できればと思います。
一度、来院して相談したいと思いますが取り急ぎメールさせていただきました。
お忙しいところ恐れ入りますがよろしくお願いいたします。
ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
大変お困りのご様子、お察し申し上げます。
これまでにも難病指定の「潰瘍性大腸炎」などは何人も緩解、それもほぼ完全緩解に近い状態に導けたケースも多いのですが、腸管型のベーチェットははじめてです。
ただし、一般のベーチェットの方は、10年前ころまではしばしば扱うケースが多かったものです。
最近は、ベーチェット患者さんは一頃より随分減っていると身近な医師たちから聞いていました。
潰瘍性大腸炎も腸管型のベーチェットも、診断が間違いなければ、多かれすくなかれ免疫がらみでもあり、漢方や中医学にとっても、それほど大きな大差は無いと思うのですが、どうでしょうか。
漢方のほうでは、あくまで弁証論治という中医学的な考えで適切な漢方薬を見つける必要があります。
ただし、潰瘍性大腸炎と同じように、かなりデリケートな疾患ですから、最初は少量ずつ反応を確かめながら(10日毎)ということになり、お互いに根気と気苦労の多い作業になるものです。
他の病気以上に最初の間は、はっきり申しまして、気苦労多く、労多くして、結果は一進一退ということも大いにあり得ます。
派手な配合が、最初からは出来ないだけに、いい結果が直ぐに出るとは限らないということです。
潰瘍性大腸炎の過去の経験でも、軽症から中程度までは最初の数ヶ月の苦労が、そのままいい結果につながったもので、お互いの苦労が直ぐに報われた感じですが、
一度、かなり重症の方を扱ったことがあり、半年間の絶食療法とステロイド療法後に、あまり改善しないのでその入院中に医師の許可を得て、ご家族と共に当方を訪れた方がありました。
15年以上も前の話ですが、激しい腹痛と様々な日ごとの変化に、こちらも若かったので、夜間にもご家族から何とかして欲しいと依頼されることもしばしばで、応急措置の漢方薬をお出ししたり、そういう繰り返しを一年近く、今では体力的に無理な注文に応じたものでした。
結果は、いつのまにか多種類の漢方処方類の併用で、突然急速にほぼ完全緩解してしまいました。
ところが、その後、しばらくして漢方薬をすべて中止されたので、大丈夫かなと思ったところで、案外大丈夫で、よかったなと思って忘れていた10年後に、ひどく再発して、前回と同じような状態で入院中だといわれる。
しかしながら、こちらも老齢の母の面倒を見ながらの生活にはなっており、体力的にも前ほどの頑張りがきかないので、以前のように夜間の数日単位の応対は、到底無理ですから、申し訳ない事ながら、お断りしてしまったのでした。
ということで、この方ほどの重症でさえなければ、10日毎に、微量ずつ漢方薬を試してみられる気がおありでしたらどうぞ、ということになりますが、直ぐ直ぐにはピントが合うとは限りません。
デリケートな疾患だけに、もしも僅かでも逆効果の反応を示すなら、その薬の残りはペケとなります。
要するに、安請け合いは出来ない、ということなのです。
されるにしても「賭け」になることと思います。
残念ながら、西洋医学にしても東洋医学にしても、最終的には「賭け」としか言いようがないと思います。
当方では、変な言い方ですが、真剣に「賭け」のつもりで一定期間、頑張れる方だけをお受けしている次第です。
以上、歯切れの悪いお返事で、甚だ恐縮ながら、お返事申し上げる次第です。
頓首
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