長いこと(15年位)げっぷとおならと不眠に苦しんでいるものです。
2,3年前からほてりもでています。それでネットで知った薬局でお薬をいただいております。
かれこれ一年になります。最初は黄連湯でだいぶほてりがとれましたがげっぷがなかなか改善されないと訴えたら生姜冩心湯になりました。
しかしこれでもあまり顕著な改善はなく下痢っぽい軟便もなおりませんでしたのでそのようにお話しましたら、1ヶ月前から黄連湯になりました。
ところが最近不眠がひどく1日おきにまったく眠れない日があります。この件を相談しましたら,お薬の問題ではないのでしっかり続けて下さいと言われました。
またあまりつらい時は睡眠薬を飲んだらどうかと言われました。
これについては以前飲み続けてやめるのに苦労したので飲みたくないと伝えました。
確かに同じお薬でも調子が良い時と悪い時があり自分でも波が激しいなとは感じています。
季節の影響もあると思います。でもこのままこのお薬でいいのか不安があります。
というのはその薬剤師さんの強い考えで内面の冷えには「乾姜」を使われます。
先日来村田様の書かれたものを読みふけっておりましたら「乾姜」について書かれていたので,その方が「乾姜」をどのようにとらえているか気になって掲示板を見ておりました.
そしたらきちんと説明されていて,日本の黒い「乾姜」が内面や下部をあたためるとありました。
確かにオウレンなどで熱をとりつつ内面をあたためる,熱がとれたら人参などを使っていきたいとおっしゃっていました。
しかしほてりをとるのにこんなに時間がかかるものなのでしょうか?
今の不調となかなか症状が改善されないことが「乾姜」と関係がないのでしょうか?
どうか御助言をお願い致します。
お忙しいところ申し訳ありませんがよろしく,よろしくお願いいたします。(選挙みたいになりましたが,本当にもう頼るところがないです。)
ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
文面だけからしか類推できませんので、下記のコメントはそのおつもりでご参考になさって下さいませ。
げっぷ・おなら・不眠とくれば、きっと精神的なストレス、あるいは生来の神経質などがあれば、知らずしらずに固唾を呑んで、いわゆる空気嚥下症となっていると思われます。
めったやたらに空気を胃袋に入れている可能性が高い、ということです。だから、その空気がおならになって出ている可能性が高いと思われます。
ストレスから不眠を伴うのも当然のように思われます。
ですから中医学的には「気滞」が存在することは明らかですので、少なくとも行気薬が配合された漢方処方が必要と思われます。
まず思い浮かぶ手っ取り早い方剤がイスクラから発売されている「開気丸」です。(内容は、Googleさんなどで検索して調べれば分るかもしれません。)
ところで、乾姜の問題ですが、確かに日本の黒い「乾姜」は、腹部を温めるのには力がありますが、単なる乾燥生姜とちがって焙じているために、消化促進作用などが完全に損なわれております。
ですから服用されていた黄連湯は本来の黄連湯ではないことになります。日本で言う乾姜は乾燥生姜ではなく、焙じて作られた「炮姜(ホウキョウ)」というシロモノです。
本来、乾姜というものは、生姜を単に乾燥しただけの乾燥生姜でなければならないのです。
とは言え、生姜瀉心湯でも効果が見られなかったところをみますと、最初に述べましたように、気滞に対する漢方処方を選ぶ必要があるように思えます。
黄連湯や生姜瀉心湯など古代医学の方剤ばかりに頼るのは芸がないことのように思われます。
古代医学の傷寒論の方剤で、貴女に必要な方剤がもしあるとすれば四逆散くらいのもかもしれません。
結論として、開気丸に四逆散を少量加えるという程度でバランスが取れた配合になるようにも思うのですが、なにせ、このメールだけで判断するのは限界があります。
なるべく直接訪問できるようなお近くの漢方専門薬局を訪れ、10日ごとに通い詰めれば、現在お悩みの8割を解決することは、比較的たやすいことのように思えます。
配合には、必ず微調整が必要です。
多くの場合、貴女様のお悩みの症状は、適切な配合が出来れば、現在の8割程度はスムーズに解消できるものだと思います。
漢方専門薬局と言っても気をつけなければならないことは、日本漢方だけを勉強されていて、中医学をまったくご存じない先生も多いということです。
貴女のような症状では中医学的な弁証論治の考えで漢方処方を考えないと、いい方剤がみつからない場合が多いと思われます。
以上、あくまで頂いたメール上の文面だけでの推測ですの、悪しからず御了承下さいませ。
それにしても○○地方では下関とは遠すぎますよね(笑)
頓首
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