2006年03月11日

嗅覚脱失に対する漢方薬の御相談

お問い合わせ内容 : お忙しい中恐縮ですが、相談させて下さい。

私年齢59才、身長・体重175p・80s(20代の頃68s位でした。)、喫煙30本/日、飲酒はしません、甘いものが好きです・最近の空腹時血糖値120〜140です。

10年位前頃から、鼻づまりが始まり(それ以前も多少ありましたが)2~3年位前から匂いが分からなくなりました(ここ1年前から特にひどい状態で全然匂いません)漢方薬で何か良いものがありましたら、お教え願いませんでしょうか。

かなり悩んでいます。

後、胃腸はあまり良くありません。
それと若い頃より腰痛があります。(3年前腰痛で会社を3週間休んだ事もあります。)
スポーツはしていなく、腹は結構出ています。宜しくお願い致します。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

お悩みの症状は、大変よく見られるもので、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を持っている人で、匂いがかげなくなってどうしようもなくなってこられた方が、これまでも結構おられました。

根本的な鼻の治療が必要なことは言うまでもありませんが、病院治療ではダメだったのでしょうか?

もしもそうだとすると、多くの場合、適切な漢方薬を組み合わせて適宜、微調整を行いながら継続されれば回復するものです。

ただし、それにはしっかりピントの合った漢方薬が必要ですので、このメールでのやり取りくらいで方剤を指摘できるほど安易なものではありません。

あくまで過去の経験から言えば、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)が必要となる場合が多かったものの、これ単独では効果が弱く、その方の全身の体質傾向をっかり把握した配合が必要だったものです。

ある方には、これに膀胱炎関連に使用するような漢方処方を併用することで、はじめて効果を発揮し始めたりと、一概に病名漢方的には指摘できない部分が多いのです。

世の中には、病名と漢方を当てはめたがる傾向が強いのですが、時には有効であっても、こればかりに頼っていると、漢方の本来の実力の十分の一も力が発揮できないことが大変多いのです。

先の辛夷清肺湯にしても、黄色の鼻汁を伴う、鼻息に熱感がある、鼻梁部に熱感を感じるなどの明らかな自覚症状がない場合は、不適切な場合もありますので、このようなメールのやり取りでは、やはり適切なアドバイスは不可能です。

適切なアドバイスが出来るとしたら、次のようなことだけです。

お近くの、なるべく日本漢方も中医学も両方とも習得されているほどほどベテランの漢方専門薬局か診療所などを見つけ、じっくりと腰をすえて10日分くらいずつの漢方薬を適宜に組み合わせてもらい、しっかりと配合のピントが合うまで頑張ることです。

運がよければ数回目でしっかりした配合が決まるでしょうが、立ち話で簡単に漢方薬を出すくらいの方法では、ほとんど中途半端な効き目に終わることが多いと思います。

以上、病院には患者さん自らが出向くのが当然のように、漢方療法こそ、ご本人自らが出向かないことには、極めて不正確な漢方薬しか得られないことが多いということです。

以上、お返事まで。

頓首
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posted by ヒゲジジイ at 02:17| 山口 | 漢方と漢方薬関連の御質問 | 更新情報をチェックする