2010年01月08日

杞菊地黄丸製剤の製造方法による微妙な違い

山茶花
山茶花 posted by (C)ヒゲジジイ

 以前から杞菊地黄丸はエキスを丸薬に製した製品と、粉末を丸薬に製した製品の二種類を販売していた。
 両者の効能・効果に違いがあるのかどうか、同一人物で実験した結果、明らかに粉末を丸薬に製した製品の方が評判がよかった。

 ところが、その後、エキス製剤の杞菊地黄丸でも、若い年齢層のパソコンなどによる眼精疲労に規定の半分量でも速効が出るケースも続いた。

 それゆえ、仕入れルートの関係からエキス製剤を主力に販売して来たが、製造元の止むを得ない都合により、突然、販売中止となってしまった。

 それゆえ、当然のことながら、粉末で丸剤とした製剤にもっぱら切り替えて販売することとなったが、最も心配だったのは、規定の半量で十分に効果が出ている人達にも同様の効果が維持できるかどうか?ということだった。

 結果はさいわいなことに、今度の杞菊地黄丸の方がよく効くように思うという感想を述べられる人もあって胸を撫で下ろしたところである。

 これからが本題でもあるが、いまだに裸眼で針に糸を通せるほどの90歳近い常連さんが目の霞を訴えて、妹さんが当方で常用している杞菊地黄丸を服用してもよいか、と許可を求めて来られた。
 
 ところがこの常連さん、もともと生姜湯でも頭痛が生じるような極めて過敏な体質だったのを長年かかって漢方薬で体質改善したほどの超過敏性体質である。

 以前も眼精疲労などの治療目的で、エキスで製造された杞菊地黄丸の規定の半量で食欲減退と不整脈が生じるという驚くべき反応を示したため、直ぐに中止してもらった過去があった。

 それゆえ、杞菊地黄丸は体質に合わなかった過去を思い出してもらい、決して服用してはならないと禁止したものの、何度もなんどもたっての要請ゆえ、もしかすると粉末で製した丸薬なら事情が異なるかもしれないと考え、規定の半分量で試してもらうこととした。
 当然、不快反応が生じたら即中止である。
 そこは三十年以上の常連さんだから、意思の疎通はバッチリである。

 服用の結果は数日後に速効で目のカスミが文字通り「雲散霧消」し、さらに規定量の1回8丸1日3回に増量したところ、一週間後には食欲倍増、元気もりもり、こんなに元気になってよいのかしらと、とても明るい冗談を飛ばすほどの喜ばれようである。

 要するに、杞菊地黄丸のエキス製剤と、粉末で製した製品は、体質によっては大いに反応が異なるのみならず、若い年齢層でも粉末で製した製品の方が、より評判がよいというわけである。

 もちろん村田漢方堂薬局だけの経験談であるが、再考されなければならないことは、本来、杞菊地黄丸の製法は、粉末で製造されてしかるべきものである、ということだっ。

寒波の朝のムクドリ
寒波の朝のムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ


ラベル:杞菊地黄丸
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