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おたより:東海地方の女性薬剤師
この秋口に目立った少陽の症状
ひげ先生
ご無沙汰いたしております。
ここのところ、昼夜の気温差がとても激しいですね。そのせいで体調を崩している方がとても多くみられます。
昼間はまだ汗ばむ陽気で体表の毛穴も開きとても無防備な状態であるところ、夕方になると急激に気温が下がるため、開いた毛穴から寒邪が侵入して容易に風邪をひいてしまいます。
また、夏から冬へ向かうこの季節は、陽から陰へと転ずる時期で、ちょうど半陰半陽の少陽のラインを通過する時期でもあります。
やたらと多いのが、三叉神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛、ヘルペス、帯状疱疹、脇腹痛、めまい、耳鳴りなど少陽絡みの症状です。
その他にも、お腹がパンパンに張って、食欲がなく、背中がコリコリの症状が目立ちました。
これらの方に共通することは、大椎がとても冷えていること。
そして少陽の経絡に沿って圧痛点があることです。
陽気が塞がれて詰まってしまっているため、背中がカチカチです。
こうなると副交感神経支配の消化管は全く動かなくなり、停滞してガスが生じ食欲もなくなります。
これを改善するために、大椎の温灸で気を通してあげることと、柴胡剤や龍衣(白花蛇製剤)を多用しました。
蛇は去風湿剤ですが、少陽経絡の気を動かす力もかなり大きいように思います。
面白いことに、月経がある女性は、月に二度この少陽の症状が出やすいようです。
それは、排卵期と、月経前〜月経にかけて・・・・やはり陰陽のバランスが変化する時期です。
長い目で見れば、更年期の時期もそうですね。
気血津液精と、陰陽がたっぷり満たされており、十分な余力がある方は何のトラブルも感じませんが、貯金がなくなってきている方は、このような時期のほんの少しの変化や揺さぶりにも激しく症状が出てしまうようです。
体に出てくる症状というのは、今の生活を見直す警告サインですね。
このような状態になったら、若いころのように無理をしたり横着をしていると、とりかえしがつかなくなりますよ・・・ということなんですね。
自分も更年期に足をつっこみ、無理がきかなくなりました・・・・今まで平気でできていたことができなくなるというのは、かなり辛いことですね。
老いを知り、ペース配分を修正しながら生活してゆくのが、生き方上手なのかもしれませんね・・・。
追伸その後のボクチンはいかがでしょうか? 秋ネコと言われるくらい、これからはネコちゃんがふっくらして毛艶がよくなる季節ですね。
可愛いボクチンの写真・・・・何枚あっても飽きないです。

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御返事メール:
おひさしぶりです。最近サボりがちのブログへのご協力、ありがとうございます。
また、とても詳細な秋口に多い疾患の分析と解説、重ねて御礼申し上げます。
当方で類似したケースでは、地元では珍しく六君子湯に茵蔯蒿湯の併用がズバリ的中というケースでした。補中益気湯は多用しても六君子湯を必要とするほど脾胃虚弱な人に遭遇するケースは、こちらでは滅多にないのですが、面白い配合ですがよく効いてます。
村田漢方堂薬局で目立つ昨今は、やはり秋燥に関連した疾患です。アトピーなどでは急激に乾燥症状が勃発して、服用をさぼっていた連中も、慌てて地黄剤などを中心に服用を再開した人もおられるくらいです。
順調に経過しているからと侮っている人ほど、微調整のコツを習得しないまま、自主的(苦笑)にサボった人ほど慌てているようですが、自業自得と言ったらかわいそうですよね。
といっても、現実には村田漢方堂薬局では相変わらずご相談者が最も多いのは、やはり悪性腫瘍の人達です。
末期で紹介されて来られる人では、かなり厳しいものがありますが、それでもクオリティ・オブ・ライフの向上には多かれ少なかれ貢献できていると思います。
一般的にはみずから自覚を持って本気で来られる人ほど、経過は良好で嬉しい報告がしばしば入って来ますので、このような時が最も仕事冥利に尽きる喜びですね。
但し、経過が良好だからといって油断して服用を怠った為に後悔される人が毎年何名かおられます。漢方薬類の実力を再認識されて再度一念発起されても取り返しがつく人と、つかない人に分かれるのも辛いところです。
油断した1〜数ヶ月のブランクは想像以上に大きく後退してしまうことがあるので、高を括ることは出来ません。
悪性腫瘍のご相談が縁で、漢方薬類にどっぷり漬かられて二十年近くなる人も増えて来ましたので、これらの人達を見ていると、やはり漢方は捨てたものではありませんね。
追伸
ご心配ありがとうございます。お陰さまでボクチンは完全に回復して、元気で過ごしています。今回のブログに元気な姿の写真を掲載させて頂きます。

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