2006年02月06日

大腸癌再発による腹膜播種で腹水の漢方薬

ご職業 : 医療・福祉関係
お問い合わせ内容 : 母のことでご質問します。

大腸癌の再発からすでに腹膜播種で腹水が少したまっておりますが、抗がん剤の効果がない場合3ヶ月と言われながらすでに1年8ヶ月、ひどい副作用がないためずっと抗がん剤投与が続けられています。

主治医にはほとんど相談できないため勝手に補中益気湯エキス剤を飲ませています。

副作用なく抗がん剤投与継続できるのはこのためだと思うのですが、先生のブログで五苓散でも腹水に効果あり、と言うのを拝見しぜひ試してみたいのですが、いかがでしょうか?

実家は◎◎なのでできればそちらに伺ってみたいのですが、予約しないで来店することはできるのでしょうか?

本人の体調など考慮して直ぐに伺えないときは自分で購入してしばらく飲ませてみたいと思っています。

突然の勝手なご相談ですがよろしくお願いいたします。


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復

きっと、補中益気湯がよく合っているのだと思います。

腹水に関しましては、補中益気湯が合うような方には、理論的には五苓散を加えると、一時的にせよ、腹水が気持ちよく取れることもあり得ます。

当方の常連さんが小生の話を訊いて、知人の末期がんの腹水に奨めてみたところ劇的に効いたという実例があります。

きっとそのブログ(どのブログに書いたのかは、忘れてしまいましたが・・・・・)を御覧になったのでしょうね?

当方での過去の経験では、どうしても理論通りには効いてくれないことが多くて、結局は「補気建中湯(ほきけんちゅうとう)で著効を得ることばかりでした!

ご参考までに、http://cyosyu.exblog.jp/780136/

しかしながら、理論的には、補中益気湯が合う方には、五苓散を加えると多少なりとも効果が出ても不思議はありません。

ですから、そちらで適当な五苓散を入手されて、必ず補中益気湯と一緒に服用してみては如何でしょうか?(五苓散だけでの服用は理論に反します。)

もしも、それでも効果が無い場合の一つの手段としては、先ほどの

http://cyosyu.exblog.jp/780136/ に書いてある通りの内容の煎じ薬をお近くの漢方専門薬局で作ってもらうという手もあります。

まずは、補中益気湯に五苓散を加えてみることは、やってみる価値がおおいにあると存じます。

簡単ながら、お返事まで。

頓首

追記:このお返事メールをお送りして、フト思いついたのだが、当方で過去扱った腹水の多くは、超末期の癌患者さんたちばかりだったから、補中益気湯合五苓散では間に合わなかっただけかもしれないのだった。

その証拠に、肝臓癌の腹水で当方に通える婦人には、分消湯合茵&茵蔯蒿湯などで、あっさり解決したりしていた。
たまたま、虚証ではあるが、超末期にまではなっていないような段階の方は、偶然、あまり遭遇することがなかったということが考えられる。

理論的にも、補中益気湯合五苓散がしっかり奏功する時期とタイプがあって当然なのである。

【後日談】 その後、実際に村田漢方堂薬局にご本人が来られることとなり、気力、体力は想像していたよりもそれほど損耗されておらず、腹水と腹満に関する限りは分消湯エキス製剤で明らかに好転した。
 実際にお会いしてみると、補気建中湯や補中益気湯合五苓散証などではなかったのである!
 
 これによっても分かるように、ご本人に直接お会いしないままのメール相談ではあやふやなことが多く、ましてや今回のケースのように代理人を介してのご相談となると、ますますイヨイヨもって当てにならないことが多いという教訓となっている。

参考文献: 補気建中湯