2009年09月18日

過ぎたるは猶及ばざるが如し⇒昨今の温め療法

ヤマトシジミ
ヤマトシジミ posted by (C)ヒゲジジイ

 昨今のブームは異常である。

 たとえば半身浴であるが、真冬にやると上半身がなかなか温まらないために却って心臓に負担がかかる。
 以前、ヒゲジジイ自身が試みて、自殺行為に近いことを知って直ぐにやめた。

 そもそも人類の歴史始まって以来、それほど身体によいというものなら、医学知識の豊富さでは群を抜く中国医学の精華、黄帝内経などで言及されていてもよいではないかっ!

 風呂に入ったら肩までつかって温まるのが本来の常識。それを覆すのが現代科学の現代科学たる所以であると嘯きたい連中が多いことであろうが、科学はしばしば錯覚や錯誤を犯すもので、これも現代の常識中の常識である。

 血行がよくなり心臓に負担が来ない、とか汗をかいて云々などなど、それほど身体によいものなら、東洋医学の歴代の医家が早くから提唱していてもおかしくないではないか。

 あまりに不自然な半身浴、冬には却って心臓に負担がかかり、風邪を引きかけたので、これは健康法の中でも危険思想の最たるものではないかと怪訝である。

 少なくとも、当方に来られるアトピー患者さんには、半身浴や長風呂は即刻中止してもらうのが通例である。
 長風呂によって痛んだ皮膚がぶよぶよにふやけて、一時的には痒みが軽減してアトピーがやや寛解したように錯覚する人もいるようだが、赤剥けした皮膚から風呂の湯の雑菌による細菌感染を起こしやすくなる。
 それゆえ、

 アトピー性皮膚炎ではカラスの行水を奨励している。

 長風呂や半身浴の30分の更なる問題点は、デリケートな皮膚表面が乖離しやすくなり、赤剥けの皮膚が露呈して細菌感染を誘発するばかりでなく、いつまでも皮膚の正常な再生を遅延させるからである。

 あらゆる病気の原因は冷えにあるとされる現在の健康ブームは、あまりに短絡的で幼稚としか言いようがない。
 このようなブームに肩を押されてか、漢方世界でもアトピー患者さん達が温補剤の長期の連用により、悪化の一途を辿って重症化し、村田漢方堂薬局に辿り着く人が後を断たないのである。
 
 アトピーは冷えが原因なら、戦前こそアトピーだらけの日本であったはずだが、アトピーそのものが戦前には皆無に等しかった。
 この事実を考えただけでも、いかに根拠のない論理であるかが分かろうというものである。


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posted by ヒゲジジイ at 00:25| 山口 ☀| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする