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おたより:東海地方の女性薬剤師
ご無沙汰いたしております。
先日の先生のブログ・・・インフルエンザに対しての麻黄湯使用の危惧、予防なら玉屏風散の一点張りへの懸念に関して、まさしく同感です。
処方箋をやっている薬剤師さんから、”麻黄湯がいいんでしょ?”という電話が頻繁にかかり、答えるのもウンザリしてきました。
教科書中医学と臨床とは本当に大きな開きがあり、日々気が抜けない状況です。
こちらでも新型インフルエンザで休校になっているところも多く、(何と娘の高校まで・・・)油断できません。
当方でも、銀翹散、カッコウショウキサン、ごく少量の西洋人参を併用するような処方が多く、しかしまだ、白虎加人参湯の人には遭遇していません。
そんな中、今日ご報告したいのは、桂枝湯・・・・です。
自分の体でいろいろと試してみた結果を、恥ずかしながら送ります。
”アホな奴”と思いながら聞いてくださいね♪
★夏場の桂枝湯★
夏の蒸し暑い日、もともと痰湿体質のため、一汗かいて体をスッキリさせてから仕事をはじめようと、朝からダンスレッスン。
大汗をかいて、急いで温かいシャワーを浴びてから仕事!
ところが、体の火照りがなかなか収まらず、せっかくシャワーでスッキリしたのに、また汗が出てくる。
そこへクーラーの風が当たる。
しばらくすると、手足が抜けるようにだるい、皮膚表面に違和感、目がショボショボし見にくい、眩暈、考えがまとまらない、しゃべりたくない・・・などの症状が現れ、37度5分の微熱があった。
舌は淡紅で薄白苔、脈は浮緩。
こんな症状のとき、皆さんならどう考えますか?
私は自分の体がこのような状態になったとき、実は何度も誤治しています。
というよりも、試してみたくなるのが人情です(笑)
1,二陳湯などの去湿剤を使うと・・・
もともと痰湿体質があること、手足が抜けるようにだるく、めまいがして、頭がスッキリしない、言葉が出てこない・・・
などを湿邪の性質と考えると、まずは去湿してスッキリしたい・・・と思ってしまう。
竹茹温胆湯のような熱はないので、二陳湯か?と使用してみても、全く効果がなく、喉が渇いてきた。
分析・・・この眩暈、頭がスッキリしないのは、中焦の痰が上逆して清陽を塞いだものではない。
その根拠は、舌苔白潤、脈滑がなく、咳嗽、吐き気などの症状もない。
2,補中益気湯で益気したら・・・
疲労倦怠感、しんどくてしゃべりたくない、自汗、眩暈を中気不足の症状。
発熱は脾の運化が低下して水湿が停滞し熱化したと考え、補中益気湯を服用したところ、体が火照り、頭がのぼせた感じになりますます悪化した。
分析・・・舌象、脈象からみて、邪はまだ表にあること
気が動いていないところへ補気することで、さらに閉塞し熱化した。
3,四物湯で養血したところ・・・
目が異常に見にくい、考えがまとまらないとき、血虚があるのでは?と考えてしまう。
月経後などは、一度四物湯を煎じて服用しただけで、目がピキピキと見えるようになり、元気が出てくるのに、今回はますます悪化。何の症状もとれず、ますます塞がった感じになる。
分析・・・四物湯の膩性で邪が停滞してしまった。
★太陽中風の営衛不和証・・・・桂枝湯を処方したところ、1服で全快した。
分析・・・汗をかいてクーラーの風にあたったことで、衛気が閉じて気の運行、営血の運行が阻滞したため、清陽しなくなった。
汗をかきすぎて、気が抜けて弱まり、調和営衛できなくなったと考えられる。
脈、舌をみると、邪は表にあるので、その点を見逃したところが誤治の原因。
夏でもクーラーが発達している現代では、桂枝湯を使うことも多い。
普段は、麻黄剤を使うような人でも、夏に繰り返し汗をかくことで、虚している場合も多く、運動後汗をかくことは正常だが、その汗がいつまでも止まらない状態であれば、自汗だと考えることがポイントかと思う。
お返事メール: 基本方剤、桂枝湯のとても貴重な御経験、詳細な御報告ありがとうございます。とても勉強になりますっ!
また、ブログへご協力賜り、嬉しい限りです。
それにしても先生の体質は外見からは想像しにくいほど、虚証傾向が強いのですねっ!
「邪の邪の湊るところ、その気は必ず虚す」のですから、新型インフルエンザにも注意が必要ですね。
きっと毎日様々な病気の方の漢方相談で、心身ともに疲労が激しいこととお察し致します。でも、ご自身の身体も労わられて、本業もほどほどにされるべきかと存じます。
数ヶ月前に体格優れた親友(警察官)が、夜勤明けに急死してしまい、そのショックからいまだに立ち直れないヒゲジジイです。
ともあれ、貴重な桂枝湯の自験例の御報告、ありがとうございました。
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