2009年07月21日

ときに注意が必要な補中益気湯の昇圧作用について

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ツバメ posted by (C)ヒゲジジイ

前回の続き

折返し頂いたメール村田先生、ありがとうございます。私のような初心者の質問にも迅速に対応して頂き、感激しました。

> 補中益気湯や真武湯には当然、補剤の範疇に入りますので白朮を蒼朮で代用してはならず、和白朮であっても白朮を使用すべきことは常識です。

 当院採用はツムラのみですので、やはり、これらの処方は徐々に小太郎漢方に変更していくべきだと考えました。

> 蛇足ながら、身内の◎◎内科医が赴任していた高齢の入院患者の多い病院で、ツムラのMRさんが盛んに補中益気湯の投与を奨めるので、言われるがままに投与していたら、血圧が異常に上昇する人が続出したために慌てて投与を中止した経験談を述べていましたが、当然のなりゆきだと思います。

 このようなアドバイスが勉強になります。

 これまで血圧上昇は甘草(または人参)の副作用と考えておりましたが、

蒼朮の燥湿>健脾→脾陰虚→腎陰虚→肝の陰虚陽亢(高血圧)    

というような機序もあるのでしょうか、、、。


 今後も村田漢方堂のサイトを楽しみにしております。

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お返事メール:補中益気湯の昇圧作用については説明不足でした。

 白朮の代用としての蒼朮が原因というわけではなく(ご指摘の通り人参や甘草の配合上の問題も加わってのことですが)、補気升陽の黄耆に柴胡や升麻の配合により、補中益気湯には升陽・升提作用こそ特徴的な薬理作用をもっていますので、この升陽・升提作用が連動して高血圧傾向にある体質者には、往々にしてより高血圧を助長する作用を発揮してしまうものと思います。

 それゆえ、補中益気湯が適応するのは「中気下陥」がなければ、安易に使用しないほうが無難だと思います。

 但し、補中益気湯体質者はこの温暖化の時代でも、しばしば遭遇しますので(極端なケースでは黄連解毒湯合補中益気湯を主軸に運用すべきアトピー性皮膚炎患者さんもおられるほどです・・・苦笑)、当方でもいまだに繁用方剤として大活躍しています。

 以上、補足説明としてお送り致します。

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posted by ヒゲジジイ at 13:00| 山口 ☔| 病院の漢方薬 | 更新情報をチェックする