2009年06月24日

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)ブームは百害あって一利なし

コクゾウムシ
コクゾウムシ posted by (C)ヒゲジジイ

 テレビや雑誌などによって防風通聖散製剤がメタボに効く漢方薬として派手に宣伝されるようになって以降、馬鹿売れしていてナイシトールなど一部のメーカーは笑いが止まらないらしいが、そろそろ防風通聖散の化けの皮が剥がれかけている。

 増え続ける一方の防風通聖散による様々な副作用事例の報告は目に余るものがある。
 下痢や胃腸障害のみならず一部の人では発疹が出現した例も多い。

 村田漢方堂薬局で受けた相談例では、全身の浮腫が生じて気持ち悪くなり食欲減退し、それなのに浮腫のためか却って体重が増加したという副作用の相談を受けたことがある。

 もともと以前からのお馴染みさんであったが、勤務先の会社をあげてマスコミで宣伝されている防風通聖散製剤ナイシトールをまとめ買いで安く買えるというので、皆で共同購入した欲ばりが却ってアダになった事例であるが、御本人自身、大いに反省しきりであった。

 防風通聖散のような支離滅裂に近い方剤がやせ薬になると誰が証明したというのだろうかっ!?

 急性熱性疾患時の特殊な状況下でしか使用されるべきではない方剤であり、現代社会ではほとんど遭遇することがない証候に適応する特殊な方剤である。
 
 だから村田漢方堂薬局ではとっくの昔に防風通聖散の存在を抹消している方剤である。川芎(センキュウ)や麻黄、石膏など一癖も二癖もある生薬類がトリプルで配合され、漢方処方の中でもかなり注意が必要であるばかりか、現代社会ではほとんど不要な方剤なのである。

 防風通聖散でやせることがあるとすれば、下痢したり胃腸障害という副作用によって二次的に痩せることはあっても、滅多なことでは体調よく順調にやせることはあり得ない。

 このような方剤を安易にやせ薬として許認可する側も、漢方知識のレベルを疑われる大きな問題である。
 
 体質を考慮した弁証論治にもとづくこともなく、派手な宣伝によって民衆を騙す手法は古今東西変るところがない。

 日本国内における防風通聖散ブームによって、漢方薬の製剤原料である生薬類が不足しはじめ、真に必要とする漢方薬の製造に影響が及び始めた昨今である。

 防風通聖散がメタボに効くなどと安易な宣伝を打ってぼろ儲けした企業の責任は重大である。
 今後もますます防風通聖散ブームがもたらす大きな害悪は増え続けることだろう。

 百害あって一利もない防風通聖散ブームは、日本漢方のレベルの低さをますます露呈するばかりである。

蜘蛛
蜘蛛 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:27| 山口 ☔| 防風通聖散の誤用による不快反応や副作用 | 更新情報をチェックする