年齢: 20歳〜29歳の男性
ご職業: 会社員
お問い合わせ内容: はじめまして、漢方について調べているうちに貴サイトを見つけ拝読しました。
大変、漢方に造詣が深いようでいくつかご質問出来ればと思いこれを書いております。
漢方については、昨年の9月にシンガポールを訪問した際、人に薦められて立ち寄った中医で処方されたのが初めてです。
その際「柴胡疎肝湯・温胆湯・枳実・枳殻・麦芽・香砂養胃湯・四逆散・莪朮・蒲公英」の組み合わせをエキス剤で処方されました。
症状としては、食欲不振・消化不良・口内不快感(舌苔が濃い)などです。
日本の漢方薬局やお医者さんにこの処方を見せると、「薬味が重なっているし、こんなに色々いらないはず」と言われるのですが、これが大変良く効きました。(飲んだ翌日か翌々日位にはお腹の調子が良くなり舌も驚くほどきれいになりました。)ただ、購入した一週間分が切れると、次第に元に戻ってしまい、それ以来日本で色々と試していますが、今ひとつピンと来るものがありません。
エキス剤では「六君子湯・四逆散」「加味逍遥散」「桂枝加芍薬湯・香蘇散・四逆散」「香蘇散・茯苓飲合半夏厚朴湯」「平胃散・半夏瀉心湯」など試しましたが、効果が思わしくなく、煎じ薬に切り替えることにして「芍薬6、甘草3、香附子6、茯苓6、半夏5、生姜3、白朮8、蒼朮6、人参6、川弓6、黄連3、酸棗仁8、石榴皮4、当帰5」を医師から出してもらいました。
二週間分処方してもらいこれを5日間ほど飲みましたが、日を追うごとに調子が悪くなって行く(腹鳴り・口内不快感の悪化、舌苔が茶色く染まって色が落ちない)のが分かったので、処方を変えてもらいました(「芍薬6、甘草3、香附子6、茯苓6、半夏5、生姜3、陳皮5、人参5、川弓6、大棗3、黄連5、石榴皮4、当帰5、沢瀉5、山薬5」)。
しかし、これもしばらく飲んだもののやはり調子が悪くなり、現在医師を変えようか思案しています。
そこで、量・内容などの観点から見て適切な処方がなされているのかというのが、ご意見頂ければ幸いです。
私の体質に合ったものかどうかは実際にお会いしてみて頂かないと分からないことだと思いますが、中医学・漢方の理論から見て理にかなった処方がなされているか(それが出来るだけの知識・実力を持った医師なのか)、見解をお聞かせ頂ければと思います。
よろしくお願いします。
スズメのまだ幼い兄弟 posted by (C)ヒゲジジイ
御返事メール:その配合で大いに効果があったということこそ事実であれば、事実こそまさに真実ですから、複雑な配合だからといって否定することはできません。
ところがどちらの先生も同様の配合がなされてないので効果が出なくても不思議はありません。
肝腎な莪朮が配合されておらず、そのほかの点でも、シンガポールでもらった漢方薬類とは似て非なる配合ばかりです。
どの先生も、真面目に同様な処方内容を提供する努力がなされてないようです。
ですから、最善の方法はまったく同じものを入手するのが一番だということになります。
漢方薬のような天然物になると、極端な場合は同一処方でも、各メーカー間でも効果の優劣がかなり大きく出ることも多いのですから、ましてやそのような複雑な配合になれば、なおさらです。
貴方にとっては、まったく同じ薬を入手しない限りは、その時と同じ効果を得ることは難しいかもしれません。
以上、取り急ぎお返事まで。
スズメのまだ幼い兄弟 posted by (C)ヒゲジジイ
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