2009年05月09日

病気は冷えからくる?ので、冷えの根本治療で病気が治る?

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年齢 : 40歳〜49歳の女性
具体的な御職業 : 事務
お問い合わせ内容 : はじめまして、●●に住む40代の主婦です。

 最近、いろいろと健康に不安がでてきました。緑内障の疑いもあると言われて、漢方薬を飲みたいと思いネットで近くに漢方薬局がないか探していました。
 そこで先生のHPを見つけて読ませて頂き、漢方薬の処方も中医学と日本漢方では違うということが分かりました。

 自分も中医学を基に処方してもらいたいと思い、近くの漢方薬局を探したところ、一軒見つけました。その薬局のHPも丁寧で詳しく中医学について書いてありましたが、一つ引っかかったのがその薬局は、病気は冷えからくるので、冷えの根本治療で病気を治すと書いてあったことです。
 もちろん、冷えと言っても単純なものではない事も詳しく書いてありました。

 たとえば、治療に対しては「中医弁証論治を行い、漢方薬をお出しします。」「東洋医学は、患者の病名ではなく、患者が今現在起こしている病態と体質素因に基づいて、処方がされます。「冷えを考える時は、手足の冷えといった単純な考え方では、根本の冷えは見えてきません。冷えを起こす根本原因は、内面の冷えにあります。人間は、内面である内臓が冷やされると一番困ります。内面が冷えると、その冷えから体を守ろうとして自然治癒力が働き色々な現象を起こします。頭痛(痛み)、発熱、炎症等。これらは、体にとって苦痛になります。しかし、この苦痛のみを取り去ろうとしても、根本の冷えが改善するわけでは無いので、全て対症療法になってしまいます。色々な病気の根本治療には内面の冷えを改善させてあげなければいけません。実際に冷えを認識できる冷え性だけが冷えではなく、「冷え」は、冷たいという冷えのみではありません。ほてりや発熱反応等も冷えが起こした病態と言えます。表熱や上熱に対する相対性の冷えです。」「冷えは非常に多彩な症候を現します。当然、冷え症も含まれますが、逆にほてりや高熱、微熱、湿疹、高血圧、低血圧、ホルモン異常、精神疾患、リウマチ、膠原病、ガン等ありとあらゆる症候が冷えと関連しています。冷え症は自覚的に冷えるので解りやすいのですが、他のほてりや、各種疾患の冷えについては理解しにくいと思います。陰陽は相対性を見なければいけませんので、表向きの症状は内面の冷えに原因がある事になります。夏に熱中症にかかる人がいますが、これは頭部への熱の集中が起こり、相対的に内面の冷えが強く現れて卒倒やけいれん、意識を失う病態です。ですから夏の暑い時期でも体内では冷えが起こるという事になります。つまり、下部よりも上部、あるいは、内部よりも体表面の方に熱を持っている状態が冷えと言えます。冷え性がなくても、ほてりや発熱、のぼせ等があれば、冷えがある可能性が高いと言えるのです。冷えは自覚的冷えを伴わなくても起こる病態である事を理解してください。このように多くの表向きの症状は、冷えが原因で起こる仮の症状です。(陰陽の相対性)特に冷えを感じないほてりや炎症性疾患は、冷えに対する警戒感が少なく、病気を慢性化させやすくなります。多くの難治性疾患はこの冷えを改善させるようにする事で、驚くほど改善されて行きます。この冷えを重視した治療法が、足湯や半身浴、漢方薬、鍼灸療法等です。緑内障に対しては「緑内障の漢方治療ですが、基本的に眼圧の異常があってもなくても眼球の異常を起こしている”結果”があります。この結果に対して治療を行うのが西洋医学ですが、東洋医学では根本原因に対して漢方治療を行います。眼球の中は、ほとんどが水分から出来ています。人体はこの水分量を適度に調節し、視力を調整しています。しかし緑内障のような病気はこの”水”の調節がうまく出来ない体質素因があります。中医学ではこの水を湿あるいは痰飲が原因と見ます。また、この湿や痰飲は陰の邪ですから、内面の冷えがあると作られやすくなります。ですから内面の冷えの改善を第一に利水を行う漢方治療を本治とし、適宜気、血、津液、精、五臓六腑の状態に応じて調整する必要があります」などと書かれていました。

 読ませて頂くとそうなのかなと思いますが、先生は、HPの中で冷えが原因で起こる病気はたくさんあるけれど、病気の原因は冷えが全てではない。と書かれていました。
 本当は、もう少し近かったら絶対に先生に処方をお願いしたいと思っていたので、私は、このことが気になってその薬局にかかるかすごく迷っています。

 同じ中医学を研究されていても、考え方が違うと言うことでしょうか?
 私が、中医学のことがよくわかっていないので、間違った解釈をしているのでしょうか?

 教えて下さい。よろしくお願いします。

まだ嘴が黄色い雀
まだ嘴が黄色い雀 posted by (C)ヒゲジジイ

御返事メール:拝復


>病気は冷えからくるので、冷えの根本治療で病気を治す

という内容、専門家の小生でもやや理解困難でした。

 中国の一般的な教科書にさえ、そのように病気を冷えだけが原因だと決め付けてしまうような○○な理論は皆無です。
 もちろん冷えが原因で生じる疾患は存在しますが、中医病因病機学という類の分厚い書籍が多種類存在するように、中医病因論はとても一言で語れるほど単純ではありません。

 でも立派に仕事が成り立っておられるのは、本当に冷えが原因の人にはよい結果が出る(当然ですが)からだと思われます。
 真に冷えが原因の人にとっては、そのご高説がフィットするのだろうと思われます。

 ところで、新撰組の沖田さんの結核に、皆さんが親切から温性の朝鮮人参を贈ったというのが真実なら、肺結核の多くは肺陰虚を伴っていると言われますので、朝鮮人参によって、ますます肺陰虚による虚熱を増長して死期を早めたことは明らかで、同じ人参を贈るなら涼性の西洋人参(広東人参)を贈るべきであったと思われます。

参考文献:警告:無謀な温め療法!

 ところで、当方の地元で熱心に通われている中年女性の緑内障が、運よく茵?五苓散と猪苓湯と四逆散という三種類の配合で寛解している人がいますが、特別冷えを重視した配合ではなく、むしろ湿熱を除去することに重点を置いた配合です。
 そこで関連することですが、

>湿や痰飲は陰の邪

というのは中医学的にもまったく正しいことです。その後に続く後半部分となると、どうしても小生の頭では理解困難な訳です(苦笑。

 五臓六腑の各経絡系統は、人それぞれの体質と病状によって、それぞれに寒熱虚実が異なるのが一般ですので、冷えばかりに拘ると、熱証を呈している各経絡系統に悪影響が出ますので、その人によりフィットした寒熱のバランスの取れた配合が必須となります。

 熱性炎症が激しい時には、一部の寒証を呈している部分は一時無視して、早く熱性炎症を軽減することが急務となる場合があるなど、様々な配合法則もあるわけですから、中医学を単純化してすべての疾患は冷えが原因であるなどと、極論するにはあまりにも無理があります。

 やはりどう考えても小生の頭では理解困難です。

以上、取り急ぎお返事まで。

追記:専門的に最も重要なことは⇒整体観にもとずく審証求因について

兄弟喧嘩
兄弟喧嘩 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 21:18| 山口 | 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする