もちろんお馴染みさんや常連さんのご家族のご相談以外は、すべてお断りしている。このような処方指名の場合、多々問題が生じやすいからである。
もちろん、中医学的に抑肝散が適応する人には一定の効果があることは昔から漢方世界では常識ではあったが、熱証患者が間違って単独で服用された場合、配合中の当帰や川芎(センキュウ)などに反応して猛烈な痒みが生じたお年寄りの話も折々に耳に入って来る。
だから見ず知らずの人達からの抑肝散の指名でうっかり販売した場合、多少でも効果があった場合はよいものの、もしも効果がでなかったり、あるいは適応を誤って黄連解毒湯が必要な場合のように、強い熱証の体質が並存している人が単独で服用して激しい掻痒が生じた場合の苦情が噴出した場合まで想定すると、石橋を叩いてお断りするに限る。
いくら立派な阪大グループの発表といえども、弁証論治を無視した研究成果には同調することは出来ないのである。
というより以前に、もともと「ちょっとお尋ねですが」の処方指名客こそ、もっともクレームが生じやすい前兆としてお断り対象の代表格であることは常々書いている通りである。
患者さんご本人のことを純粋に考えてあげれば、これからがとても大事である。
「主治医の先生に相談してみて下さい。もしも適応であれば、医療用漢方に抑肝散はありますから、きっと投与してもらえるはずですからっ!」
とっ。
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