2008年11月18日

丹参製剤「生薬製剤二号方」について

お問い合わせ:内科医師

 当地域はだんだん寒さが深まってきまして、風邪の患者さんが増えてきました。幸い、漢方薬を処方しますと比較的短期間で直られますので一開業医としてありがたいことです。

 それから私の母ですが、2週間ほどまえに退院し(腰椎圧迫骨折)まして自宅でリハビリしたりゴロゴロしていましたが、昨日私の診療所へきました。それなりに元気そうで、左大腿部のしびれというか痛みも徐々に軽減しているようです。入院した当初のご助言に感謝します。

 本日はお忙しいなかを恐縮ですが、私の相談です。
 現在内服しているものは、杞菊地黄丸一日18丸、雲南田七一日1カキ、にがりを20テキ、とデイオバンを1錠で、血圧は良好にコントロールされています。

 最近気になることとして肩こり・左首筋のこり、全身の筋肉が硬い感じです。勿論肩こり・左首筋のこりは随分まえからの症状ではあります。
 ウチダさんが持参くださった和漢薬の論文を拝見しますと、丹参製剤とかイオン化カルシウムに興味が生じていますが、いかがなものでしょうか。
 運動をして体をほぐすように努力しないといけないとは思っていますが。

 一般的なことですが、心筋梗塞とか糖尿病の血管障害などに丹参製剤を使用するにあたって、注意することがもしあればお教えいただけますと幸いです。


お返事メール:先生の「肩こり・左首筋のこり、全身の筋肉が硬い感」が、温めると楽になる、風呂などで温まると緩和されるようでしたら、多くの場合、丹参製剤の「生薬製剤二号方」で治療効果が出る可能性は高いと思います。

 但し温めても無効な場合、過去の事例でもそのようなケースでは、地竜で速効ということが何例もあります。この場合は筋肉の熱性炎症のように思われます。

 肝腎陰虚証があっても杞菊地黄丸と併用されれば、生薬製剤二号方の温燥による傷陰を防御できますので、配合上のバランスはよいと思います。(稀に問題があるとしますと、脾胃気虚の傾向が強い人が、杞菊地黄丸と生薬製剤二号方の併用は脾胃の機能低下を招くこともあります。)

 心筋梗塞や狭心症の予防や治療的な作用は、もともと冠心二号方の系列方剤ですので、かなり有用性は高く、糖尿病による血管障害にも雲南田七とともに有用性は高いものです。
 但し、ワーファリンのような作用の強い合成医薬品を連用されてい人の場合は相乗効果?が出過ぎると困りますので、慎重に用いる必要があると思います。(他社の類似製品、●●●●のメーカーさんからの報告で、信頼性の高いアメリカの医療機関○○○○クリニックにおける検証によれば、ワーファリンとの併用による問題はないとの報告を得ていますが、それでも慎重であるべきだと思っています。)

 やはり常に弁証論治にもとずいて使用すべきで、丹参製剤「生薬製剤二号方」の諸注意は、和漢薬誌の513号(1996年2月号)の拙論の末尾に記載している通りです。
posted by ヒゲジジイ at 20:49| 山口 ☀| ウチダの生薬製剤二号方と丹心方 | 更新情報をチェックする